台湾の次は日本侵攻。新空母「福建」の名に込められた中国の野望

 

加えて私は、日本を意識した命名である可能性もあると見ています。というのも、施琅が降した鄭成功一族は、よく知られているように、日本人の血が流れているからです。鄭成功は貿易商だった鄭芝龍と田川マツのあいだに生まれました。出生地の長崎県平戸市には、マツが手をついて鄭成功を出産したという「鄭成功兒誕石」や「鄭成功記念館」があります。近松門左衛門が鄭成功をモデルに「国性爺合戦」を書いたことは有名でしょう。

鄭成功は、台湾では「開発始祖」とされ、台湾人の不屈精神の支柱ともなっていますが、その裏側には母親が日本人であったということとも大きく関係しています。台湾では「日本精神(ジップンチェンシン)」といえば、勤勉、誠実、不屈を意味しており、それが鄭成功という台湾人の「民族英雄」と重なるわけです。

そのため、中国の空母名が施琅にちなんだものであるということは、日台の絆をも断ち切るという意味も持つことになります。中国からすれば、台湾も尖閣諸島も日清戦争によって奪われたという認識です。そのため、尖閣諸島への侵攻も空母名に込められているのではないかと私は思うのです。

さらにいえば、中国では、現在の沖縄人について、明の洪武帝の時代に福建から琉球へ渡来した「閩人三十六姓」の子孫だという主張もあります。これまでのメルマガでも書きましたが、近年、中国では沖縄について、中国の領有権を示唆しはじめています。

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また、2005年に中国で起きた官製の反日デモでは、「琉球回収、沖縄解放」という横断幕が掲げられたこともありました。こうしたことを考えると、「福建」という空母名は、台湾だけではなく、日本侵攻をも念頭に置いた命名である可能性があるのです。そのことを日本人はもっと警戒すべきでしょう。

そんな折、習近平への不満が高まり、政治局常務委員からの支持を失いつつあるという話が飛び出しています。中国の著名な反体制派の陳奎徳氏は「ボイス・オブ・アメリカ」のインタビューに対して、ロシアのプーチン大統領がウクライナに侵攻してから、ロシア支持やアメリカへの対抗姿勢について党内で反発が出ており、さらに「ゼロコロナ対策」で経済に大きな打撃を受けていることへの批判が渦巻いていると述べています。

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そして陳奎徳氏は、その反習近平の中心にいるのが李克強首相だとしています。5月25日、中国国務院が全国経済安定化テレビ電話会議を開催し、李克強首相が重要演説を行いましたが、10万人の地方幹部が参加したこの会議は、事実上の反習近平勢力の集まりだと目されており、このような会議が開催できたのも、共産党政治局や常務委員の後押しがあったからだと主張しているのです。

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