ウクライナ侵攻に無関心な仏国。日本とも共通する「戦争慣れ」の現実

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長引くウクライナでの戦争の状況を報道機関が日々伝えていますが、その熱量が徐々に落ちてきていると感じないでしょうか。2月の侵攻開始直後と比較すれば、その違いは明らかです。ウクライナにより近いフランスでも「戦争慣れ」の傾向が見られると伝えるのは、歴史学者で日仏交流に情熱を注ぐ世川祐多さんです。今回のメルマガ『パリ大学博士・世川祐多のフランスよもやま話』では、当事者ですら悲惨な状況に慣れてしまうのが人間の性(さが)であり、部外者の場合は「無関心」にすらなっていく現実を伝えています。

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戦争慣れ

かつて東京大空襲を生き延びた親類が言ったのは、僕たちは「空襲慣れ」していたということであった。他の親戚もその頃「死体を見ることに慣れていた」とも言っていた。

人間は弱いとも言われるがタフでもある。順応するということにおいて強靭だ。

孤独といった心の面には誰しも弱さを持つのだろうが、雨が降ろうが槍が降ろうが核爆弾が落ちようが、例外的で悲惨な環境に慣れるということで、運が良ければ、あるいは悪運が強ければ人は生き延びる。

ウクライナの戦時下の人たちも、当初のパニックの状況から数ヶ月を経て、順応しきった人もいるのかもしれない。また、ゼレンスキー大統領自体も、毎日激しく武器の提供を訴えるというルーティンに慣れたかもしれない。

ところで、めっきり日本の新聞もフランスの新聞も一面にデカデカとウクライナの戦争のことが載ることはなくなった。だが、ウクライナの人たちは当事者であるから、目下の戦争に無関心ということはないだろう。

しかし、人間、部外者であるときは、センセーショナルな出来事であっても、徐々にその出来事への関心が薄れ、しまいには無関心になってしまう。

ロシアのウクライナ侵略当初は、多くのフランス人が第三次世界大戦を恐れているといった脅威が叫ばれ、新聞が熱を帯びていた。今は、異常気象の夏を迎えたというのに、新聞はどんどん冷めていっている。

感情的にはウクライナを支援している人がほとんどの日本とフランスだが、内実無関心が拡大している。このところ、ウクライナ戦争に関する世論調査もなくなって、淡々とした小さな報道が増えてきた。

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