低血糖を生じやすいか否か。糖尿病薬と「糖質制限食」の相性は?

 

その他の経口糖尿病薬

(3)経口血糖降下剤(SU剤)
疲れた膵臓をさらに鞭打つ矛盾した治療法。食後高血糖・平均血糖変動幅増大を予防せず、空腹時低血糖を生じやすい。

特殊例を除いて使用しない。まれにグリメピリドが有効な例がある。

(4)α-グルコシダーゼ阻害薬(グルコバイ、ベイスン、セイブル)
比較的副作用は少ないが効果も軽度である。腹滿、ガスなどの副作用あり。「STOP-NIDDM」試験では、2型糖尿病の発症を36%、心血管疾患の発症を49%抑制した。近年のCGMにより平均血糖変動幅改善効果が実証されて、再評価されつつある。

(5)インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン誘導体・アクトス)
肥満・浮腫・心不全・男性の膀胱癌など、理論的に副作用が心配である。

(6)速効型インスリン分泌促進剤(グルファスト、スターシス、シュアポスト→グリニド系剤)
効果が軽度。

(7)DPP-4阻害剤(ジャヌビア、ネシーナなど)
効果は軽度。

(8)リベルサス(GLP-1受容体作動薬)
新しい薬ですが、早朝空腹時血糖値を下げてくれます。私はよく使います。

(9)ツイミーグ(イメグリミン塩酸塩)
一番新しい薬です。まだ、2週間投与です。ミトコンドリアへの作用を介して、グルコース濃度依存的なインスリン分泌を促す膵作用と、肝臓・骨格筋での糖代謝を改善する膵外作用(糖新生抑制・糖取り込み能改善)により血糖降下作用を示すと考えられています。良さそうな薬です。

SU剤が最も低血糖を生じやすいので、近年使用量が激減しています。グリニド系剤も、インスリンを分泌させるので、低血糖を起こす可能性は少しあります。(4)(5)(7)(8)(9)は低血糖が生じにくいです。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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