全土の政府機関、公立校が半旗。台湾が安倍氏の死を深く悼む理由

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7月8日、応援演説中の奈良県で凶弾に倒れた安倍晋三元首相。世界の要人がその死を悼み、弔意を表すなど、改めて安倍元首相の世界の中での存在感の大きさを感じる日々が続いています。なかでも台湾は、全土の政府機関や公立学校が半旗を掲げ、「もっとも深い哀悼と感謝」を表明したとのこと。安倍元首相と台湾との関係とは如何ほどのものだったのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、台湾出身の評論家・黄文雄さんが、個人的な交流にも触れながら、日台関係強化に尽力した故人の活動を紹介。台湾にとって「永遠の友」を失った衝撃と悲しみの大きさを伝えています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年7月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料お試し購読をどうぞ。

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プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【追悼】日本・台湾で受け継がれる安倍精神

2022年7月8日、参議院議員選挙の期間中、奈良県で遊説していた安倍晋三元首相が凶弾に倒れました。多くの人の願いも虚しく、帰らぬ人となってしまいました。改めてご冥福をお祈り申し上げます。

増上寺で告別式が行われた後に荼毘に付されましたが、沿道では非常に多くの方が集まり、安倍さんとのお別れを惜しみました。増上寺や自民党本部へは、献花に訪れる人が列をなし、いかに安倍元首相が国民から親しまれていたのか、そのことに改めて気付かされました。

私も安倍元首相とはずいぶん以前から交流があり、これまで出版記念会で祝辞をいただいたこともあります。安倍さんは、「政治家である自分が言いにくいことを、黄さんが言ってくださっている」とおっしゃってくれましたが、じつに中国の本質を理解している稀有な政治家だったと思います。そのことは、首相時代に中国包囲網である「自由で開かれたインド太平洋」戦略を提唱し、実現させたことからも明らかでしょう。

また、日本にとっての台湾の重要性も力説されていました。首相退任後、「台湾有事は日本有事だ」と発言し、日台関係の強化を訴えていました。こうした態度は中国から猛批判されましたが、圧力に屈しない芯の太さは、まさに日本と台湾にとって、かけがえのない存在でした。

日本には日台交流を促進するために設立された「李登輝友の会」という団体があります。私も副会長として名を連ねていますが、言うまでもなくこの会の名称は、日本への理解が深く、松尾芭蕉の『奥の細道』を愛し、日台運命共同体理念を主張されてきた李登輝元総統に敬愛の意を表して付けられたものです。

そして台湾でも、この「李登輝友の会」にならって、知日派の元政治家、企業経営者、学者らが中心となり、日台交流を促進するための「安倍晋三友の会」が設立されようとしていました。すでに安倍元首相からも了承を得ていたそうです。その矢先の悲報でした。
台湾「安倍晋三友の会」発足へ 日台親善を促進したい – 産経ニュース

李登輝元総統と安倍元首相は親交が深く、李登輝氏の訪日ビザ取得に尽力した政治家でもありました。李登輝氏の次女である李安妮さんも、李登輝氏と安倍氏は「師弟関係であり、友人関係であり、父子のような関係だった」と述べ、安倍氏の死を悼んでいます。
李登輝氏の次女が追悼 安倍氏と父の関係は「師弟で、友人で父子」:朝日新聞デジタル

2020年7月に李登輝氏が逝去されてから、安倍元首相は新型コロナ終息後、墓参のために訪台したいという意欲を示していたそうですが、それもかなわないこととなってしまいました。
李登輝氏死去1年 安倍前首相「状況許せば訪台」 – 産経ニュース

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