安倍氏と統一教会は「ズブズブ」だったのか?元信者が自ら明かす“実態”

2022.07.20
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統一教会批判をしたがる左派系の人たちは、統一教会が主催・後援している反共的な政治活動に関わっている政治家、財界人、言論人などを、統一教会の信仰を持っているかのように言いたがる。本気でそう思っているとしたら、誇大妄想か、宗教について全く何も分かっていないかのいずれかだ。旧統一教会は、文鮮明という韓国人を再臨のメシアとして信奉する、韓国生まれの宗教団体だ。教義上、文教祖は霊界で、天皇より遥かに高いところに位置している。それどころか、天皇もアダムとエバの子孫である罪人であり、再臨のメシアによって祝福を受け、新生しない限り、地獄に行くしかない哀れな存在だ。そんな教義を右翼天皇主義者が受け入れるだろうか。クリスチャンにとっても、文教祖をイエスを超える存在と位置付ける教義は、反キリストの許しがたい教えだろう。

自民党など保守系の政治家の一部が、統一教会に好意的だったのは、もっぱら対共産主義で大同団結していたからだ。選挙など人手が必要な際に、勝共連合・統一教会の力を借りていた議員は少なくない――勝共連合は、統一教会が中心になって創設された政治団体で、事務局員のほとんどは統一教会の信者だが、一般会員は統一教会の教義とは関係のない保守系の人たちである。

自民党を支持する宗教団体はいくつかあり、それらは統一教会よりも遥かに信者数が多い。しかし大きい教団であるほど、自民党の言いなりになってくれないだろう。統一教会の信者数は多く見積もっても10万人程度で、さほど票数にはならないが、長期間にわたって献身的に働いてくれる若い信者を貸してくれるので、使い勝手はよかったのではないか。特に、清和会(安倍派)や旧中曽根派などのタカ派が多い派閥は、後援会に対する反共啓蒙活動に熱心に取り組む若者をほぼ注文通りに派遣してくれる統一教会は、ありがたかったろう。そのため、お付き合いで、統一教会の教義に関する講義を聴講した議員もごく少数いたようだ。その逆に、中選挙区時代に清和会とライバル関係にあった、宏池会などハト派の議員には、反統一教会的なスタンスを取る人が多かったようである。

しかし、私の知る限り、少なくとも統一教会の幹部クラスの人たちは、自民党の議員たちを本当のところ信用していなかった。都合が悪くなったらいつ切り捨てられるか分からないと怯えていた。統一教会の支援を受けていた議員の側も、下手に切ると、支援を得られなくなるだけでなく、それまでの関係を暴露されるかもしれないので、厄介な連中だと思っていたろう。

安倍氏自身はさほど選挙の心配はなかったろうが、祖父の岸信介元首相が、勝共連合の創設に協力して以来の付き合いがあったので、深く考えず、統一教会系の新たな政治団体である、天宙平和連合(UPF)に応援メッセージを送ってしまっただけのことだろう。「天宙」という統一教会用語を冠した政治団体に、応援メッセージを送るというのは、元信者である私から見ても軽率だが、それをもって、安倍氏が統一教会の隠れ信者であるかのように言うのは飛躍である。宗教団体と深く関係のある政治団体に応援メッセージを送ったら、その宗教の“信者”になるのであれば、自民党議員の多くは、仏教系・神道系の複数の宗教団体の信者をかけ持ちしていることになる。ましてや、統一教会が安倍氏などを背後から操っているかのように言うのは、妄想による陰謀論だ。

アメリカ大統領選やウクライナ危機をめぐる陰謀論がそうであるように、巧妙な陰謀論には若干の事実が混じっている。当事者も認めている事実を、確認されていない“真実”と面白おかしく結び付けて、大げさな話に仕立て上げる。旧統一教会の“指令”によって、自民党が、重要法案を旧統一教会に都合のいいように作り変えたことを示す具体的な証拠などない。千歩くらい譲って、(私がいた頃よりもずっと勢力が小さくなった)旧統一教会に自民党を動かす力があったとして、創価学会や、日本会議などの神道系の政治団体がそれを黙認するだろうか。

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