欧米の30分の1。日本の企業が渋る従業員への投資、金をかけず社畜だけが生み出されていくシステム

 

一昔前は出向といえば社員にとって永遠のお別れのような感じでした。今の時代は出向は増えており、若い人から年配まで、また永久の出向というより数年間の出向も増えています。

ただ、コロナ禍で雇用確保と人件費の調整的理由でも大きく増えた出向者をも踏まえれば出向命令を受けた社員はやる気をなくすだろうなと思います。

またご本人も「会社の自分への評価はこんなものだから」と割り切り感も出るでしょう。もちろん、出向先での大活躍で本社に大栄転というケースもありますが、それはごく一部の例外です。

今回の報道も人への投資という立派なお題目は重要ではありますが、スキル(技術)習得という点が主体であり、「Youはなぜ仕事をするのか」という忠誠心や仕事への姿勢とは別世界です。

日本人は会社への忠誠心が主要国に比して格段に低く、かといって転職も起業もするわけではない「なんとなくサラリーマン」という方が多いという統計もあります。仕事が生活のため、というフラット感がそうさせるのだと思います。一生懸命やっても普通にやっても手を抜いても給与は大差ないのです。

今週号の日経ビジネスの特集は「異端児に託す経営」。まさに今日のブログのためのような話ですが、冒頭のリードに「変化を起こそうとする異端児の芽を摘み取り、『出る杭社員』を叩きのめし、あえて凡人の集団にしてきたのではないか」と提起しています。

異端児の特集は日経ビジネスでも過去何度かやっていますが、結局わたしの達観するところは会社ではそのようなシーンに於いて「異端児と傍観者」でしかなく、他の社員は美辞麗句を並べながら結局、冷たい視線を送るのです。

ならば傍観者であるその他の社員を惹起する方法を考えないといけない、これが私の思うところであり、仕事が楽しい、発見がある、異業種との出会い、学んだスキルを使いこなすなどを末端からトップまでが共有し、「前向き部署」を作るといった外科治療が私には必要だと思います。

以前提言したように例えば新入社員は全員子会社、関連会社からスタートし、頑張った者が親会社に行けるというステップも必要なのではないかと思います。

何事も改革は一歩目から、ですが、いっぺんに全部は変えられないのなら頑張る人を重用するといった明白なアメを与えるなどして10年かけて体質変換を図っていくしかなさそうな気がします。

では今日はこのぐらいで。

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プロフィール:岡本裕明

Blue Tree Management 株式会社取締役社長。ゼネコンで不動産事業、秘書を経たのち、1992年からカナダ・バンクーバーの不動産開発事業に従事。2004年にカナダ法人を買収、現在同地にてマリーナ運営、商業、住宅不動産事業、日本の書籍輸入販売などの他、東京でも不動産事業を展開するなど多角的な経営を行っている。「外から見る日本、見られる日本人」の人気ブロガーとしても広く知られている。

記事提供:『外から見る日本、見られる日本人

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『外から見る日本、見られる日本人』

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