動機は「自民と統一教会」。安倍氏銃撃事件は他の凶悪事件と何が大きく異なるのか

 

このように、今年の7月は、安倍元首相が殺害されるという衝撃の事件に続き、過去の大量殺人事件に関する出来事が続いたため、これらをイッショクタにして論じる人も現われました。もちろん「凶悪殺人事件」という一面から見れば、これらはどれも同じカテゴリーに該当する許されない事件です。しかし、その犯行動機は大きく違うのです。

安倍元首相を殺害した容疑者は、すでに繰り返し報じられているように、カルト教団「旧統一教会」によって家庭をめちゃくちゃにされた恨みによる犯行だと供述しています。その「旧統一教会」と祖父の代からベッタリ癒着し、選挙では組織票の振り分けまで行なっていた上に、日本における最大の広告塔をつとめていた安倍元首相が、教団の被害者から恨みを買うのは当然の事です。

一方、京都アニメーションの事件の場合は、恨みは恨みでも完全に「逆恨み」です。まだ初公判も行なわれていないため、これまでに報じられた内容からの推測になってしまいますが、自分が応募した作品が京都アニメーションに盗作されたという思い込みによる「逆恨み」が犯行動機ということになります。

また「津久井やまゆり園」の事件の場合は、知的障害者は死んだほうが社会のためになるという前時代の「優生思想」を妄信したことが犯行動機となっています。

そして、今回、死刑が執行された秋葉原の事件の場合は、唯一の楽しみとして利用していたネットの掲示板で「不細工なせいで孤独な男」という人物を演じていたところ、荒らしの嫌がらせに遭い、その腹いせに犯行声明を投稿し、引くに引けなくなって実行したといいます。他の事件と大きく違っているのは、殺害する相手が「誰でも良かった」という点です。

どの事件も絶対に許されない凶悪犯罪であり、単純に比較することはできません。しかし、この犯行動機という一点だけを見ると、あたしは、秋葉原の事件に最も恐ろしさを感じました。それは、もしもその場にあたしがいたら、あたしが被害者の1人になっていたかもしれないからです。

京都アニメーションの事件のような「逆恨み」であれ、「津久井やまゆり園」の事件のような「狂った思想」であれ、そこには犯人にしか分からない自分勝手な目的意識があり、殺害する相手は初めから決まっていました。しかし、秋葉原の事件の場合は「腹いせ」であり、殺害する相手は「誰でも良かった」のです。これほど恐ろしいことが他にあるでしょうか。

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