統一教会はどう世界に浸透したのか?ナチスの初期を真似た異端の全貌

 

日本の「統一教会」

日本の「統一協会」は1958年に文鮮明氏の指令を受け、日本に密入国した日本語達者な崔翔翼(日本名・西川勝)氏が原理教を持ち込み、広めたことで組織化された。世界平和統一家庭連合の田中富広会長が記者会見で「教団は韓国から宣教師が、送られてきて、そしてその宣教師によって、1人から2人、3人と広がってきて定着した宗教団体である」と述べていたが、この宣教師が西川勝こと崔翔翼氏である。

翌年の1959年に崔氏は密入国の容疑で逮捕されたが、取り調べ中に逃走を企て、長期間潜伏した。その後、崔氏は再逮捕されたが、どういう訳か、日本船舶振興会の笹川良一会長らの尽力があって国外退去を条件に釈放されることになった。覚醒剤罪で逮捕され、実刑を宣告されたものの国外退去を条件に釈放された韓国の歌手、桂銀淑(ケ・ウンスク)と同じパターンだ。

崔氏はこの期間、立正佼成会と接触し、庭野日敬会長秘書の久保木修己氏を入信させ、1964年7月に久保木氏を会長に「統一教会」の日本本部を設立させた。

「統一教会」日本本部は大学生を対象にした原理研究会(「原理研」)をテコに勢力を拡大していった。日本では「親泣かせの原理運動」として世間から非難を浴びていたが、3年後の1967年に文鮮明氏が来日し、「統一教会」日本本部の笹川良一顧問や右翼の児玉譽士夫氏の側近、白井為雄氏や右翼団体の護国団の市倉徳三郎顧問らと会い、第1回アジア反共連盟結成準備会議を山梨県本栖湖畔にある全日本モーターボート競走会連合会の厚生施設で開いていた。そして、翌年の4月には笹川顧問を名誉会長に、久保木氏を会長に国際勝共連合日本本部が創設されている。

こうした人脈図から当時、「ニューヨークタイムズ」は「文鮮明グループは日本の極右笹川良一やロッキード・スキャンダルに連座した児玉誉士夫から財政援助を受けていた」(1976年5月25日付)とまで書いていた。

国際勝共連合日本本部はソウルに本部が創設されてから僅か3か月で設立されたが、久保木会長が同本部の会長も兼ねていた。

久保木会長は1971年にソウルで開催された世界反共大会に出席した際、青瓦台(大統領府)を訪れ、朴大統領に会い「反共指導者である朴大統領閣下のご指導を要請したい」と述べ、「今後とも一層奮闘し、朴大統領閣下のご期待に報いたい」(国際勝共新聞、1971年2月21日付)と誓いを立てていた。

久保木会長は1970年以降、日本と韓国、そして台湾の一体化を高唱し、特に蒋介石総統の台湾が国連から追放されてからは「次は韓半島(朝鮮半島)である」と叫び、「日韓台同盟論」を唱えていた。当時、「勝共連合」の主張や活動に対して自民党や第2野党の民社党の親韓派議員らが共鳴し、支援したのは公然たる事実である。

一例として、福田赳夫元首相は1974年5月に帝国ホテルで文鮮明氏が主催した「希望の日晩餐会」に出席し、祝辞を述べたが、「アジアに偉大な指導者が現れる、その名は文鮮明、私はこのことをうかがいましてから久しいのですが、今日は待ちに待ったその文先生と席を同じくし、また高まいなるご教示にあずかりまして本当に今日はいい晩だと、気が晴れ晴れとしました」と文鮮明氏に最大の賛辞を送っていた。

 

岸信介元首相との関係

しかし、日本で統一協会、国際勝共連合に誰よりも深くコミットしていたのは安倍晋三元首相の外祖父の岸信介元首相であろう。

崔翔翼氏が日本に潜入し、原理教を広めるため「原理研」をつくったが、その本部(「全国大学原理研究会」)は岸元首相が首相当時に私邸として使っていた家に――

(メルマガ『辺真一のマル秘レポート』2022年7月14日号より一部抜粋。続きを読むには、2022年7月分のバックナンバーをご購入ください。)

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