世界秩序崩壊後は、弱肉強食の世界に逆戻り
既存の世界秩序が崩壊すると、どうなるのでしょうか?
国際機関、国際法がまったく意味をなさない【弱肉強食の時代】に逆戻りします。
すると?
ロシアがルガンスク、ドネツクで止まる理由は、あるでしょうか?
ありません。
実際、ロシアは、ヘルソン州もザポリージャ州も支配しているではありませんか。ロシアがそこより先に進まないのは、「進まない」のではなく「進めない」のです。欧米から武器支援を受けているウクライナ軍が善戦している。しかし、ロシアは、「可能であれば」どこまでも先に進む可能性があります。
「北海道はロシア領」と主張
ロシア政府の高官がどんなことをいっているか見てみましょう。時事4月9日。
ロシアのウクライナ侵攻を受けて日本が対ロ制裁を科す中、ロシアの政党党首が「一部の専門家によると、ロシアは北海道にすべての権利を有している」と日本への脅しとも受け止められる見解を表明した。
「北海道はロシア領」だそうです。こういう発言をしているのは、クレイジーな下っ端政治家なのでしょうか?いえいえ。
見解を表明したのは、左派政党「公正ロシア」のミロノフ党首で、1日に同党のサイトで発表された。公正ロシアは政権に従順な「体制内野党」。ミロノフ氏は2001~11年に上院議長を務めた。
(同上)
「北海道はロシア領」発言をしたのは、「元上院議長」です。いってみれば、大物政治家。そのロジックが、驚愕物です。
「どの国も望むなら隣国に領有権を要求し、正当化する有力な根拠を見いだすことができる」と明言した。
(同上)
これ、わかりますか?
ロシアが、他国の領土を欲しくなった。その時、「正当化する有力な根拠を見出すことができる」というのです。
たとえば、プーチンが「北海道を手にいれたい」と思った。その時、「北海道はロシア領である」という「有力な根拠」を見出すことができる。要するに、「作り出すことができる」と。
ちなみに、ロシアが力をつけてきたら、どうやって北海道を奪うのでしょうか?小野寺まさる先生から聞いた話では、
「アイヌは、ロシアの少数民族だ。ロシアの少数民族アイヌは、日本で迫害されている。だから、ロシアはロシアの少数民族アイヌを迫害から守るために、北海道に侵攻しなければならない」
というロジックなのだそうです。
「ルガンスク、ドネツクのロシア系住民は、迫害されている。だから、救わなければならない」
と同じようなロジックですね。
「アラスカはロシア領」との主張 ←h3タイトル
次にニューズウィーク7月7日を見てみましょう。
ロシア下院のビャチェスラフ・ボロージン議長は6日、ロシアはアメリカからアラスカを取り返す権利があるとの主旨の発言をした。ボロージンはウラジーミル・プーチン大統領の側近だ。
今度は、現役下院議長の発言です。
「アラスカを(アメリカから)取り返す権利がある」
そうです。
アラスカをアメリカから取り戻せと発言しているのはボロージンだけではない。下院議員のオレグ・マトベイチェフはロシア国営テレビに対し、ロシアは「アメリカなどに占有されてきた、本来ロシアの所有であるすべてのものについて、ロシア帝国のものもソ連のものも現ロシアのものも含めて」返還を求めるべきだと語った。アラスカもその中に含まれるのかと問われ、マトベイチェフはそうだと答えた。
(同上)
どうでしょうか?
断言しますが、ロシア政府高官たちが、北海道やアラスカは「ロシア領」というのは、「冗談」ではありません。彼らは、心から、自分の主張の正当性を信じているのです。
では、なぜロシアは、北海道やアラスカに侵攻しないのでしょうか?「現状、そうするだけの力がないから」です。力をつけたら、必ずそうすることでしょう。