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京セラも実践している『死に銭』を一銭も使わない方法とは?

さまざまな視点からビジネスにもプライベートにも役立つ話題を提供するメルマガ『尾原のアフターデジタル時代の成長論』。著者で、Google、マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員などを経て、現在はIT批評家として活躍されている尾原和啓さんには、人生で一番大事にしている格言があるといいます。家訓ともなっているその言葉の意味とは?

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家訓「死に銭一銭もつかうな、生き銭惜しむな」

今日は尾原が人生で一番大事にしてる格言についてお話したいと思います。今日まで、パリにいたんですけども、急遽、スイスのジュネーブに行くことになりました。今朝にチケットを取って、パリのド・ゴール空港に向かっています。

尾原家の家訓

実は今まで話したことがなかった、尾原家の家訓がありまして、それは「死に銭一銭もつかうな、生き銭惜しむな」という言葉なんですね。

今時あんまり使わない言葉なんですが、死に銭っていうのが、そのお金を使ったとしても、そのあとに生きてこないお金のことで、一銭も使わない。というのが、商売の基本なんですね。

これを徹底的に会社で実践していて、羽ばたいている会社が「京セラ」です。

京セラって各部署ごとに電気代とかえんぴつとか、全ての利益管理を徹底されていて、人がいないときには電気を消すとか、もっと言えば、トイレットペーパーの長さを本当に、最小にしてるのか。とか、そういう無駄なところをひたすらに削って、1銭、1円を削ることで、メーカーとしての競争力を強められ、お客様に安く提供できるようになるので、メーカーとして選ばれるようになって、業績が上がり、みんなのお給料に反映されるよ。だから、死に銭を1銭も使うな!ってことですね。

それに対して、生き銭ってなにかというと、それを使うことによって、新しく何かが生まれるお金ってことなんですね。これは金銭的な、例えば株価がすごく安くなっているから、底値で買って、お金が増えるみたいな金銭的なインセンティブの報酬というよりかは、例えば、本当に活躍するであろう人をそっとサポートしてあげる。

見返りを求めずに、いいよ!お前は絶対活躍する人間だから、サポートする、だったりとか、自分の知見が増えるだろう旅を増やすところだったりとか。将来、相手のため、世の中のため、結果として、自分に返ってきて、それがどんどん膨らんでいくっていう、お金の使い方が生き銭なんですね。

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親父の格言ってのは、親父は、これをやってたんですよ。

商売やってる以上、死ぬようなお金っていうのは、一生使うべきじゃないけれども、生き銭を惜しむっていうことは、自分が何のために稼いでいるかということにつながるからと言って、例えば買い物に行ったりしても「本というのはメートルで買え」と親父にいわれてきた。それは、自分への成長投資だし、文化を育てることに貢献することにもなる。

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本を1冊、2冊の単位で買うんじゃなくて、1メートルという単位で本棚全部買えよ。そうすることによって、3冊のうち1冊でも琴線に触れるような本があれば、それが生き銭だし、その本1冊にしても、それを全部読まなくても、たった1秒でお前の人生を変えてくれるものがあれば、それは生き銭だからといわれてきた。

そして、何り本という著者が熱量をもって形にしてくれている文化産業を支えることになる。支える余裕がある人間が支えなければ出版という文化の礎が豊かになっていかない。

まあ、何よりも、仲間ですよね。

一番濃いエピソードが、まだ親父が、羽振りのいい頃の医者だったので、よくホテルでお世話になっている方とお酒を飲むことだったりとかしてたんですけど、そういうところで、ホテルパーソンって、スタッフの方で本当にいい振る舞いをしてくれた人に対して、「いいホスピタリティだった」と言って「お前、これやるよ。お前はこれに似合う存在だから」と言って、20-30万とかするロレックスの時計とかをあげちゃうんですよね。

だけどこういうのって、周りから見たら「先生大丈夫ですか?」になるんですけど、そのスタッフの方からすると、新しい振る舞いをした。そして、次の世代の方が巣立つ、変身するきっかけみたいなことをを提供するわけです。

実際、その方が10年後20年が経ったときに、ホテルパーソンって、いろんなホテルを渡り歩きながら、出世されていくので、出世されたときに、たまたま僕と再会したときに、覚えてくれていて、「ああ、尾原さんところの坊ちゃん、実は僕、今もお父さんからもらった時計を大事にしてるんですよ」って本当にその時計を見せられたこともあったんですよ。

そういう風にして、生き銭をどう循環させていくか、っていうことが大事なんですよね。

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話を戻して、なんで僕がスイスのジュネーブに向かうかというと、Team Labの猪子ちゃんがですね、初めてオペラの照明を演出するんですよ。もちろん、猪子ちゃんは世界に冠たるアーティストになってるわけですけど、スイスの伝統あるトゥーランドットというオペラの光の演出をするって、変換点じゃないですか。

それの初演ということで、猪子ちゃんも来ているということ、そして僕もたまたまパリにいる。

パリからジュネーブも飛行機で1時間くらいで、飛行機自体もLCCで飛べば、往復3万円くらいなので、ヒッピー宿泊まれば、スイス高いんですけど、1泊1万円くらいなので、じゃあ応援に行くじゃないですか。

そういう風にやっぱり誰かが、新しい冒険を踏み出した時に、パッと行って、パッと祝える人になっていく、っていうのが生き銭を使っていくことだな─と思います。

だから僕は、いろんな新しい展示会に行った時も、その展示会に初めて登壇された方に対して、いろんな情報をGIVEして、いろんな人を紹介していく。

そうすると、生き銭が回っていくし、今の生き銭って人と人のご縁だったりとか、自分の持っている経験だったり知識をペイフォワードしていくっていうのがすごく大事だと思うので、

みなさん是非、「死に銭一銭も使うな、生き銭惜しむな」という格言が楽しむヒントになればなと思います。

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image by: Shutterstock.com

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IT批評家、藤原投資顧問 書生 1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用システム専攻人工知能論講座修了。 マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタート。 NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援を経て、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業立ち上げに従事。 経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。 現職は14職目。シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡ぐカタリスト。ボランティアで「TEDカンファレンス」の日本オーディション、「Burning Japan」に従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。

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【著者】 尾原和啓 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 月・木曜日 発行予定

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