中国最大の宗教は「中国共産党」だ。幼少期から刷り込まれる“思想”

Beijing China-January 21, 2013: China's National People's Congress and CPPCC "two sessions" in the Chinese Political Consultative Conference symbol.
 

先日のペロシ氏訪台は一大事件です。中国共産党教の土地だと信じているところにサタンの使者が舞い降りたわけですから。中国政府の反応は想像以上に過激で、案の定ミサイルも打ちました。私が初めての海外旅行で台湾に行った1996年は、国民投票によって総統を選ぶ初めての選挙が控えており、この時もミサイルを打ってきました。今回はミサイルの数が多いだけでなく公海とは言え台湾を囲む形で軍事演習を行うという露骨な威嚇行為だけでなく、台湾から中国への輸出品にはMade in Taiwan等の記載が入っているものは認めず、Taiwan, CHINAや「中国台湾省」の英語表記などにしないと中国の税関で受け入れを拒否するとの通達を出しました。食品から工業製品まであらゆる商品が対象となっています。中国が大口の貿易相手国であることを逆手にとった嫌がらせです。台湾政府はもちろんそんな記載をしている貨物の輸出通関を受け付けませんから、事実上中国との貿易は途絶え、多くの企業が困ることになります。

どこのメディアで見たのか忘れましたが、共産党は国民の不満が政府に向かわないように(ハッタリであっても)強硬な姿勢を見せないわけにはいかないのだという記事がありました。この視点にはとても納得できます。20代の若者を中心とする熱狂的な愛国者達は「小粉紅」と呼ばれます。粉紅はピンクの意味です。中国国旗の紅に準ずる集団を暗示した愛称で、年齢が年齢だけにSNSでの発言が多く、ネチズンとして一大勢力になっています。既述の安倍氏の事件直後にあふれた「祝辞」の多いこと多いこと。この辺も20年近く国を挙げて反日キャンペーンをやって出来上がった「筋金入りの信者」だからでしょうか。人の死をあそこまで喜べる神経って何だろうと悲しくなりました。教祖としての共産党指導部はそんな狂信的な信者の怒りが政府に向かうことだけは避けなければならない。かつて同じように大衆を味方につけることで国民党を台湾へ追い出し、革命を成功させた共産党は大衆の怖さをよく知っています。ほとぼりが冷めたころに徐々に元に戻していくだろうと期待していますが、プーチンのウクライナ侵攻というありがたくない既成事実がありますから軍事衝突が無いとは言い切れません。早くこの緊張が緩和されることを願って止みません。

(『出たっきり邦人【アジア編】』8月6日号)

著者/Mochi(「『華南の風』中国・深セン」連載)

image by: humphery / Shutterstock.com

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