KDDI大規模障害と障害時ローミングにソフトバンク社長は何を思う?

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7月2日に発生したKDDIの大規模通信障害は、最大約3900万人もの利用者が影響を受けたとされ、通信ネットワークが生活に欠かせないインフラになっていることを改めて印象付けました。そこで議論となっているのが緊急時に他社回線を利用できるローミングの仕組みです。この問題について、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者で、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、ソフトバンク宮川社長に直接質問。緊急通報に留まらず、低速でも最低限の通信はできるようにしたいとの考えを引き出しています。

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KDDI通信障害にソフトバンク宮川社長は何を思う?──緊急通報だけでなくデータ通信のローミングに言及

KDDIの通信障害を受けて、個人的に気になったのがソフトバンク・宮川潤一社長の反応だ。ネットワークに強い、競合他社の社長はKDDIの大規模通信障害をどんな風に受け止めたのか。

決算会見の質疑応答では、通常、最初の方は決算に関する数字や社長の考え方を聞きつつ、後半にさしかかったところで、決算とは異なる質問をする、というのが定番の流れなのだが、自分がどうしても宮川社長に聞きたかったこともあり、他の記者に質問されないよう、真っ先に手を上げて「KDDIの通信障害に対する感想とローミングの可能性」について聞いてしまった。特にローミングは、宮川社長が「いいだしっぺ」でもあるので、なんとしても聞かなくてはと思ったのだった。

宮川社長は「正直、私どもとしては対岸の火事ではないと思っている。自分事だと思って、本気でいろいろなことを考えた。今回の障害について、KDDIの高橋社長は立派に質疑に答えられていた。安心感があった。ネットワークの障害だけで言うと、今回たまたま私どもとしては発生しないものだという風には思ったが、人的ミスから発生した大きな障害ということで、私どもでも発生することは十分考えられると思い、何をどうしたらいいのか今、社内で対策チームを設けて我々も1から見直す検討をしている」とした。

ローミングに関しては「ほかのキャリアさんと相談しているわけではないが、個人的には、たとえばソフトバンクだと、ドコモやKDDIのMVNOのような構造を受けておき、緊急時には切り替え可能になるようなeSIMを用意しておけばいいのではないかと。そうしないと、トラフィックが、受けキャリア側に集まってしまう。それの制御のために、このような方法がいいんじゃないかなと。通信速度にこだわる必要はない。300kbpsくらいあれば、電話やメール、ウェブで何が起こっているか、LINEが使えたり最低限の通信の確保はできる。検討していきたい」としたのだ。

業界的には「緊急通報だけでもローミング」という雰囲気だが、宮川社長としては緊急通報だけでは社会的な混乱は収まらない。データ通信も用意すべきというスタンスのようだ。ただ、ローミングというよりかはeSIMを用いたMVNO的なサブ回線を用意するという考えに近いのかも知れない。

例えば、とりあえず3キャリアのユーザーが使う可能性が高い「+メッセージ」アプリにeSIMを書き込むような機能盛り込んでおき、いざという時には他社回線に接続、低速ながらもメッセージやウェブ、LINEができるようにしておくというのが現実的なのかも知れない。

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image by:Ned Snowman / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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