国際人権団体が批判、ウクライナの“自作自演”と腐敗が招く核惨事

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ロシアが掌握するウクライナのザポリージャ原発に、次々と着弾するミサイル。ウクライナ及び西側諸国はこの攻撃を露軍によるものとして強く批判していますが、その主張を疑う声も上がっているようです。今回の無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』では著者で国際情勢解説者の田中宇(たなか さかい)さんが、ロシア軍がザポリージャ原発を攻撃することがありえない理由を解説。さらにウクライナが自国民を「人間の盾」として利用しているとの国際人権団体による指摘を紹介するとともに、ウクライナ紛争の責任はロシアにではなくウクライナと米国にあるとの見解を示しています。

悪いのは米国とウクライナ政府

ザポロジエ原子力発電所は、ウクライナ南東部にある欧州最大の原発だ。2月末にウクライナに侵攻したロシア軍は、ウクライナ側がロシアを脅すためにこの原発を破壊すると言い出したり、原発の核燃料を転用して核兵器を作ろうとせぬよう、この原発を占領した。ウクライナ軍はロシア軍よりはるかに弱いため、そのようなことをしかねなかった。露軍は原発を占領したが、ウクライナ側の要員に原発の運転を続けさせ、原発は平常通りの電力供給を続けてきた(戦時で産業が停止し電力需要が少ないため平時の7割の出力で運転)。

There’s a nuclear catastrophe on the horizon in Ukraine
Medvedev blames Kiev, West for attempts to stage another Chernobyl at Zaporozhye NPP

8月5日以降、この原発の原子炉や使用済み核燃料貯蔵プール、冷却水貯蔵ダムに対し、ウクライナ軍が攻撃を仕掛けるようになった。ウクライナ政府は「原発を攻撃しているのはロシア軍だ」とウソを言っている。米国側の政府やマスコミはいつもの通りウクライナが発するウソを簡単に信じ、欧米政府やG7は「ロシアは原発への攻撃をやめろ」「ロシアは原発の占領をやめて管理をウクライナに戻せ」と表明している。ロシア政府は「原発を攻撃しているのはウクライナ軍であり、このまま攻撃が放置されると原子炉や使用済み核燃料が破壊され、放射能が漏れて大変なことになる」と警告している。チェルノブイリやフクシマを越える核の大事故が起きる懸念がある。

UNSC Holds Emergency Meeting As Smoke Observed Rising Over Zaporizhzhia Nuclear Plant
G7 top diplomats call on Russia to hand over Zaporozhye NPP to Ukraine

地元の露側当局者によると、ウクライナ軍は、米国からもらった精密誘導弾も使ってザポロジエ原発を攻撃しており、すでに数十発を撃ってきた。使用済み核燃料貯蔵庫から10メートルしか離れていない場所に着弾した誘導弾もあった。貯蔵庫に命中すると、冷却が失われた使用済み核燃料は放射能漏れや爆発を引き起こす。

Ukraine bombs nuclear waste storage site

ロシアは国連安保理を招集し、ウクライナ軍の攻撃でザポロジエ原発が危険な状態になっていることを訴えた。国連の事務局は、誰が原発を攻撃しているのか曖昧にしたまま危険を認知し、IAEA(国際原子力機関)が調査団を組織して現場に派遣する話が持ち上がった。だが、これに対して国連内でどこからか圧力がかか
り、IAEAは調査団を結成できないままでいる。誰が圧力をかけて妨害しているの
かは不明だ。ロシア側は、IAEAが現地に来たらウクライナ軍の仕業だと確定して
しまうので米ウクライナ側が妨害していると言っている。

Nuclear Catastrophe Is Gaining Momentum in Ukraine

原発を警備しているのはロシア軍だ。露軍が自分で守っている原発を自分で攻するはずがない。もし露軍が原発を攻撃したのなら、米国側は喜んでIAEAに調査団を作らせて現場に行かせ、ロシアが原発を攻撃して危険にさらしていると非難する。ウクライナ戦争はロシアの優勢、米国側の劣勢で展開しているので、米国側はロシアを非難したくて仕方がない。民生用原発の攻撃などというテロリスト的な戦法を使いたがるのは、負けている米ウクライナ側だ。

Ukrainian nuclear site faces new threat

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