8月初めには米国のCBSテレビが、米欧がウクライナに送った兵器のうち3割しか戦闘の現場に届いておらず、残りは行方不明になっていると報道した(その後、その報道はネット上から削除された)。EUの警察は、米欧がウクライナに送った兵器が、ウクライナ政府の上層部によってブラックマーケットに横流しされていると指摘している。これも、ウクライナ政府のひどい腐敗を表している。米欧の政府上層部は、ウクライナ政府が兵器を横流ししていることを知りながら、兵器を送り続けている。
● Officials Reveal Haphazard, Chaotic Way Western Arms Are Being Distributed In Ukraine
● 70% of Western weapons sent to Ukraine don’t reach troops – CBS
米国からウクライナに送られたとされる兵器の何割かは、もともと米国がウクライナに兵器を送っておらず、米国の軍産複合体・諜報界(両者は同じもの)の裏金として使われている可能性も高い。この手の裏金づくりの起源はベトナム戦争(や朝鮮戦争?)にさかのぼる。実のところ、ウクライナ政府より米国政府の方が大きく腐敗している。
今回の戦争で、米国もウクライナも上層部がとても腐敗している。米ウクライナの上層部が流す情報の多くも、善悪が歪曲されたウソである。今回の戦争は、米英がウクライナ政府を傀儡化してロシア(国内露系住民)に戦争を仕掛けたものであり、もともと米英が悪く、ロシアは悪くない。ドイツなど米同盟諸国の政府上層部は、これらの腐敗とウソの構図を察知しているはずなのに、見てみぬふりをし、ウソを軽信して「極悪なロシアを勝たせるわけにいかないので、市民は石油ガスの値段が上がっても不平を言わず、生活が貧しくなっても我慢せよ」と言い続けている。今年の冬にかけて、ロシアから欧州に送られる石油ガスが減り続け、エネルギーや食糧の価格が高騰し、欧米や途上諸国などの人々の暮らしが悪化していく。
● Europeans must be willing to ‘pay’ to support Ukraine
(無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』2022年8月17日号より一部抜粋・敬称略)
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