小林よしのり氏が論破。中国は台湾についてとやかく言う資格がない理由

 

さて、まず強調しておかなければならないことは、現在の中国=中華人民共和国は、歴史上一度も台湾を国土としたことがないという事実である!

台湾についてとやかく言う資格がないのは、中国の方なのだ!

日本が台湾を領有したのは1895年である。

現在の中国=中華人民共和国(以下「中共」)の建国は1949年であり、この時には影も形も存在していない。

日本は日清戦争に勝利し、「下関条約」(日清講和条約)によって、清国から台湾を割譲された。

清国は満州族の王朝であり、現在の中共を支配している漢族は、清に服属する存在にすぎなかった。

清の一員でしかなかった漢族の末裔である中共が、「台湾はかつて清国領だったのだから、現在は中共の領土である」と主張しているわけで、これは全く意味が通らない。

それは例えて言えば、かつて大英帝国の一員であったインドが、そのことを根拠に、同じく大英帝国の一員だったビルマ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドを「インドの領土である」と主張するのと同じ理屈であり、全くわけのわからない話なのである。

日本は半世紀にわたって台湾を領有したが、1945年の敗戦により、ポツダム宣言に従って台湾を放棄した。

そして台湾の領有権を引き継いだのは、蒋介石の中華民国である。この時点でもまだ中共は成立していない。

1949年、中華民国との内戦に勝利した毛沢東は中華人民共和国の建国を宣言。中国全土を掌握した。

しかし敗れた中華民国は台湾に落ち延び、ここに政府を建てて支配した。その後今日に至るまで、中共の支配が台湾に及んだことは一度もない。

中華民国だろうが、中華人民共和国だろうが、清朝や歴代の中国王朝だろうが、何でもかんでも「中国」と表記してしまうのは極めて悪質なトリックであって、現在の中国=中華人民共和国は1分1秒たりとも台湾を領土にしたことなどなく、台湾を自国の一部のごとくとやかく言う資格など、一切ないのである。

現在、国連では台湾を国家として認めていないが、これは蒋介石が「中華民国」こそが正統な「中国」であるというメンツにこだわり、中共の国連加盟が認められた際、国名を「台湾」に変えて残留するという選択肢を採らず、国連を脱退してしまったためである。

独裁者・蒋介石のメンツさえなければ、台湾は台湾の名で独立国として国連に加盟していたはずであり、現在も台湾は国連には加盟していないものの、事実上の独立国なのである。

さて、中国が日本に対して、台湾を「植民地」にしていたからモノを言う資格がないと言っているということは、裏を返せば、中国は「植民地支配」というものはあまりにも残虐で人道に反することであり、それをやってしまったら最後、もう人様にモノを言えるような立場ではなくなってしまう、とてつもなく酷い行為であると認識していることになる。

そして、なぜ中国がそう認識しているかと言えば、中国自身がそういうとてつもなく酷い「植民地支配」をしているからである。

中国がチベット・ウイグルで行っている「植民地支配」の過酷さは、筆舌に尽くしがたい。

中国がやっているのは「ジェノサイド」であり、チベット人・ウイグル人を徹底的に弾圧し、虐殺し、文化も歴史も民族性も全て破壊し尽くし、チベット人・ウイグル人という存在をこの地球上から抹殺しようとする行為である。

それは、日本が台湾において行った「植民地政策」とは天と地以上の差がある。

この記事の著者・小林よしのりさんのメルマガ

購読はこちら

 

print

  • 小林よしのり氏が論破。中国は台湾についてとやかく言う資格がない理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け