もはやクーデター革命軍。米大統領の再選狙うトランプ陣営の支離滅裂

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11月8日に迫ったアメリカの中間選挙。大統領選の中間の年に行われることからこのように呼ばれる統一選挙ですが、その候補者を決める予備選の段階において、共和党内で激しい抗争が繰り広げられています。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では著者で米国在住作家の冷泉彰彦さんが、共和党のトランプ派と穏健派による真正面からのぶつかり合いの様子を詳しく紹介。さらにこの党内抗争がアメリカの政局に与える影響を解説しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年8月23日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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トランプとその支持者は「居直りモード」米政局を左右する共和党の党内抗争

11月の中間選挙、そして2024年の大統領選を前にして、アメリカ共和党の党内には、激しい対立が生まれています。まず、2020年の選挙に敗北して引っ込んだはずのドナルド・トランプには、とにかく「トランプ派」という積極的な支持層が全国に存在しています。大統領選の時は全米の有権者の15%ぐらいと言われていましたが、今でも10%から12%ぐらいは存在していると言われています。

そんな中で、共和党内では2024年の大統領選の候補としては、トランプが最有力だという声は大きかったのです。トランプも、「再出馬」を匂わせ続けており、あとは、トランプ自身が再出馬に宣言をするのか、するとしてどのタイミングになるか、具体的な動向に関心が寄せられていました。

そんな中で、トランプは1つの大きな作戦を立てていました。それは、2022年11月の中間選挙へ向けて、共和党の穏健派を「引きずり下ろし」て、トランプ派の候補を据えるという作戦です。アメリカには「現職は自動的に候補になる」などという甘いルールはありません。大統領から連邦議員、知事、地方議員に至るまで、現職でも予備選の洗礼を受けます。

そこで仮に当選を重ねてきたベテランでも、トランプ批判をしているような穏健派は「刺客」を送られるということになっています。方法としては、とにかく、トランプ自身が選挙区に乗り込んで「ラリー形式」というエンタメショーのような独演会をやって、自分の推薦する候補を売り込むわけです。その効果は保守州では絶大です。

そのような政治活動の「成果」も出ています。例えば、まず、自分が大統領の時に、最高裁に保守派判事を送り込み、最終的には「妊娠中絶禁止の合憲化」など保守化させた「功績」については、共和党支持層の多くは認めざるを得なくなりました。インフレへの不満や、難民が殺到する南部国境の混乱について、現職のバイデンを叩くことで自身の支持を拡大することもしていました。特に、コロナ対策の柱である「マスクとワクチン」については、強制するのは絶対反対という立場を取って、保守派の大喝采を受けていたわけです。

ただ、トランプに弱点もあります。一つは、ロシア=ウクライナ戦争です。トランプは、かねてよりロシアのプーチン大統領と個人的に「信頼関係がある」などと放言してきました。シリアの問題はプーチンに任せるとか、ウクライナは腐敗国家であり、ゼレンスキー政権は「無能」などという放言を繰り返していたのでした。更に、開戦直後には「プーチンは天才」だなどと言っていたこともありました。

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