ロシアの自作自演か?プーチンの“メンター”娘が爆殺された裏側

shutterstock_1190273476
 

去る8月20日、モスクワ郊外を走行中の車が仕掛けられていた爆弾により爆破され、ロシア人女性ジャーナリストが死亡するという事件が発生しました。被害者はプーチン大統領の思想に大きな影響を与えたとされる学者の娘で、彼女が運転していた車は父親が所有するものでした。誰がどのような目的を持って、このような行為に及んだのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、爆死した女性の父であるアレクサンドル・ドゥーギン氏の人物像を紹介。さらにロシアから一方的に犯行への関与を指摘されたウクライナ側の主張を取り上げるとともに、今後の展開を予想しています。

プーチンのメンターの娘が暗殺された件

ヒトラーには、ハウスホーファーというメンターがいました。ドイツの地政学者です。彼は1923年、ヒトラーに「生存圏」という理論を教えました。「生存圏」というのは、「自給自足圏」のことです。そして、「生存圏」を確保するのは「国家の権利だ」というのです。

わかりやすい例で、いいましょう。日本には資源がないですね。だから、資源大国を侵略するのは、「国家の権利だ」というのです。日本の食糧自給率は低いです。だから、農業国を侵略するのは、「国家の権利だ」というのです。

なんともアグレッシブな理論です。しかし、ヒトラーは、ハウスホーファーが教えた生存圏理論に大きな影響を受けました。ちなみに、第2次大戦前戦中の日本の政治家・軍人も大きな影響を受けていました。

地政学は、ハウスホーファーの「危険な教え」のせいで、【禁断の学問】と呼ばれるようになります。

ハウスホーファーは、危険な教えをヒトラーに吹き込んだ男。それでも、「地政学眼」はしっかりしていました。彼は、ヒトラーがソ連侵攻を画策していることを知り、大反対したのです。

ハウスホーファーの考えでは、ドイツとソ連は「ランドパワー連合」を組み、シーパワーのイギリスを撃退すべきだった。もしヒトラーがメンターのいうことを聞いていれば、イギリスは負けたかもしれません。

ところが、愚かなヒトラーは、メンターのいうことを無視。それどころか、ハウスホーファーと絶交したのです。

print
いま読まれてます

  • ロシアの自作自演か?プーチンの“メンター”娘が爆殺された裏側
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け