中国の「一帯一路」が元凶。カンボジアで人身売買被害に遭う台湾人続出の衝撃

 

なぜ台湾人がカンボジアに連れて行かれるのか。この集団的犯罪の背後には中国の影が色濃く見えます。第一に、台湾とカンボジアは国交がないため、現地での捜査や捜索を行うのが困難だということです。

第二に、報道によると、被害者の台湾人たちはカンボジアに着くと、「カンボジア南部のシアヌークビル経済特区(SSEZ)やミャンマー東部カイン(旧カレン)州ミャワディの人身売買拠点「KK園区」に売られ、詐欺などの行為に従事することを強要される」といいます。

シアヌークビル経済特区は、巨大経済圏構想「一帯一路」に沿って中国が開発を主導。香港01によるとKK園区も当初は経済特区だった。両地区では、本来誘致するはずだった産業に替わり徐々にギャンブル産業が勃興。その後、中国当局が越境賭博への取り締まりを強化し、新型コロナウイルスの流行も追い打ちとなって集客を失い、ギャンブル産業が立ち行かなくなったために人身売買の一大拠点に成り下がったとみられる。

人身売買被害37人に増加 東南アジアへ、香港社会に衝撃 – NNA ASIA・香港・社会・事件

中国が建設した街なだけに、公用語は中国語のようであり、カンボジアにおける治外法権のような地域になっていたそうです。そこへ台湾人や香港人を誘い込み、詐欺、性犯罪、臓器売買などの犯罪に利用しているというのです。

さらに噴飯ものなのが、この状況に対するカンボジアの中国大使館の態度です。

カンボジアの中国大使館は8月20日、カンボジアに滞在する台湾出身者への「手紙」を公開。「祖国はあなたたちの盾であり、どのような困難であろうと直接私たちに連絡できる」などとつづり、台湾は中国の不可分の一部であるとの立場を強調した。

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スネークヘッドやらヤクザやらの中国人犯罪集団が堂々と犯罪を繰り広げられる場所を提供し、犯罪に目をつぶっている一方で、被害者である台湾人や香港人に対しては、「祖国はあなたたちを見放さない」などと偽善者ぶっているのです。もちろん、以下のように反論しています。

台湾外交部(外務省)は台湾メディアに対し、カンボジアなどで詐欺グループが発生したのは中国が推し進める巨大経済圏構想「一帯一路」が背景にあると主張。「自分たちで火をつけておきながら一方で助けるなどと叫んでも一帯一路の失敗は隠せず、台湾の人々の中国政府への反感を増加させるだけだ」

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