ホンマでっか池田教授が生物学視点で断罪。後進国ニッポンの古い「婚姻制度」

 

受精後8週くらいにY染色体にあるSRY遺伝子が働きだすと男の体になり、これが働かないと女の体に育つ。稀に交差によってSRY遺伝子がYからXに移ることがあり、このSRYが働くと性染色体がXXでも男の体に育つ。逆に、SRYがあっても働かなければ女の体になる。性自認(自分を男だと思うかあるいは女だと思うか)はそれよりずっと後、20週くらいになって決まる。

視床下部の分界条床核は男では大きいが女では小さく、この大きさにより性自認が決まる。中には体は男でも分界条床核が女並みに小さい人があり、この人の性自認は女になる。一方体は女でも分界条床核が男並みに大きい人は、性自認は男になる。これらの人は所謂トランスジェンダーである。分界条床核が中間位の人は性自認が判然としない。これらすべての人は正常に育つわけだから、性自認には多様性があるということで、矯正しなければならない理由はない。

日本では今も、法律などではトランスジェンダーの人を「性同一性障害」と呼んでいるが、障害ではないので、この呼称は使わない方がいいと思う。日本の法律は、自分の性自認に合わせて、戸籍上の性とは別の性に変更したい人に対して、ほとんど虐待に近い難題を押し付けている。

「性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律」所謂、「性同一性障害者特例法」というのがあって、性別を変更するには、次のような要件を満たさないといけないと記してある。

  1. 18歳以上であること
  2. 現に婚姻をしていないこと
  3. 現に未成年の子がいないこと
  4. 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
  5. その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること

ひどい悪文であるが、要するに自分の望む性に変更するには、男から女になる時には睾丸とペニスを除去し、女から男になる時には卵巣を除去してペニスらしきものを付けろということだ。これは性別を変更したいトランスジェンダーに対する虐待だ。日本では同性婚を認めていないので、婚姻中に性別変更すると自動的に同性婚になるので、非婚を要件にしているのだろうが、さっさと同性婚を認めれば何の問題もない。 (『池田清彦のやせ我慢日記』2022年8月26日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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