この戦略の弱点は、「全固体電池の2020年代前半の実用化」に大きく頼っている点です。それが万が一にでも3~5年遅れてしまえば、トヨタは今まさに起こっているEVシフトの大きな波をすっかり逃すことになってしまうのです。
例え3~5年遅れても「全固体電池は強力な武器になる」可能性は否定できませんが、他のメーカーも電池のイノベーションには投資し続けるので、そこまで遅れてしまうと、それほどの差別化要因にはならない可能性が大きいと思います。
ちなみに、この件に関して、先週紹介したGPT-3に尋ねたところ、こんな答えが返って来ました(DeepLで翻訳済み)。
EVの市場はまだ比較的小さく、トヨタは今のところ他の分野に注力しています。トヨタは、EVより将来性のある水素燃料電池技術に積極的に投資している。
トヨタはハイブリッドやプラグインハイブリッド技術にも力を入れており、完全な電気自動車に向けたより現実的な中間ステップと見ている。EVのインフラがまだ十分でなく、普及しないかもしれないものに大きな投資をしたくない。
トヨタは、現在の電池技術ではお客様の期待に応えられないと考え、電池技術の向上を待ってからEVを発売している。
(『週刊 Life is beautiful』2022年9月6日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみ下さい。初月無料です)
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