「南」大隊と「北」連隊の部隊1,500人は、ヘルソンのドニエプル川西岸に配備されたようだ。カディーロフ首長は、1万人を派遣するというが、この敗戦でロ軍の脱走兵が急増しているので、チェチェン兵で、その流れを止められないように思う。
そして、これだけでは足りず、兵員不足を補うために、プーチンは「志願兵」集めで大企業にノルマを課し、国営ロシア鉄道には1万人の徴集を指示した。しかし、1日に650名もの戦死者を出し、相当数の精鋭部隊を失っているので、募集してもだれも応募しないであろうし、兵員の訓練も必要であり、負け戦を挽回できないとみる。
本来は、ロシア内強硬派の言うように、早い段階で戦争宣言をして、総動員を掛ければよかったが、プーチンはそれをしないで、姑息な方法を策したことで、負けが込んでいる。また、苦戦の状況がロシア国内に伝わり、だれも募集に応じない。
また、弾薬や大砲、ミサイル、工兵を北朝鮮から提供を受けるようであり、ショイグ国防相が北朝鮮に「物乞い」訪問したという。
北朝鮮は、ソ連時代の大砲と弾薬を提供して、代わりに中国から最近のロケット砲などを受け取るようであり、東欧がウクライナにロシア製戦車などを供与して、代わりに米国製兵器を装備するのと相似系の動きをしている。この裏には、中国がいるはず。徐々に、米中代理戦争の様相になってきたようである。
しかし、大量の大砲と弾薬が一時的になくなるので、北朝鮮は核兵器の使用条件を緩和して、韓国軍の攻撃に備える必要になっている。これによると、北朝鮮は金正恩が攻撃で無力化された場合、「自動的かつ即座に」核報復を行うこと、更に、外国軍の兵器が北朝鮮の国家指導部に向かうと判断した場合、先制核攻撃も可能にするものである。というように、核戦争を引き起こしかねないようだ。
ロ軍の敗戦状況と、「物乞い」を行ってもプーチンは「ロシアは何も失っていない」し、世界の軍事大国という。しかし、貿易に国際人民元為替ステムCIPSを使い、人民元は国際通貨だという。ここでも、ドル対人民元という国際通貨の戦いになるようだ。
このように、ロ軍が東部で総崩れになったことで、国際政治上では、ロシアは中国の属国化が進むことになる。もう対等の位置ではない。軍事大国でもなく、みじめな敗戦国である。
また、苦戦を意識して、プーチンは、欧州のエネルギー市場への圧力を強めていた。結果、フランスやイタリアなどは、ロシア産天然ガスの供給が止まり、冬が越せないという本音で、しかし、表面上はウ軍とロ軍の硬直状態は解消しないなら、停戦した方が良いとして停戦を迫るはずであった。仏マクロン大統領の言動を見ると、そのような動きをしていた。このため、プーチンとも電話会談をしていた。
しかし、ウ軍の反攻大成功により、フランスなどがウクライナに停戦を迫ることは難しくなった。ウクライナは、ウ軍が徐々に占領地を奪還するので見ていてくださいといえるので、停戦要求を見事に覆したことになる。
国際政治でも、大きく変化が起きることになる。ロシアが政治的経済的な小国として生きていくことになり、中国が名実ともに専制国家の代表になる。
ロシアは国内政治でも変革が起きるが、中国がプーチンをサポートして、民主主義国家化を阻止することになる。
さあ、どうなりますか?
(『国際戦略コラム有料版』2022年9月12日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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