胃袋を奪われたら終わり。“複数注文”がない「おせち」の戦い方

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毎年時期が早まっているような気がする「おせち」の広告。どうやら気のせいではないようです。年に1回きりの大きなビジネスのチャンスをしっかり掴むにはどうしたらいいのでしょうか。メルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』著者で、船井総合研究所で史上最年少のフード部マネージャー職に就き、現在は京都で外食・中食業態を複数経営しつつ、多くの企業をサポートする堀部太一さんが、失敗事例と成功事例を元に「おせち商戦」の戦い方を伝授。過去の売上データをどのように分析しどう利用すると効果的か、翌年を見据えた戦略も伝えています。

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今から準備!今年のおせちの戦い方

おせち商戦。本当に年々早まってますよね。もう既に百貨店では始まっていますし、テレビ含めたメディアでも特集も。

なぜおせち商戦は加熱するのか?

おせちの市場規模はどの程度か。何気に600億円もの規模があります。たった1日で600億円と、寿司宅配が1年間で同程度になりますので、大きな爆発力があるのがわかりますね。しかも高額商品なので生産性が高いんですよね。

特に昨今ではOEMやPBが主流になりました。というより、徹底して手作りでやると労務環境が半端ないものになるという側面も。大体、12月28日から通常営業を終えて、ほぼ徹夜で31日まで作り続ける。手作り中心時代ではこのようなお店が中心でした。

それが上述の通り、OEMやPBが中心。製造への負担が減った分、売る為のプロモーション合戦が加速しています。

おせちの販売スケジュールは?

確実に売り切るのであれば、下記の流れがないと厳しいと思ってください。
10月末:目標対比15~20%
11月末:目標対比50~60%
おせちは「複数注文」がない商材です。つまり、胃袋を奪われたら終わりという事。

これもあって、どんどん前倒しが進みます。言葉が悪いですが、「早割」などを使って、如何に囲い込むか?みたいな状況になっています。

だからこそ。12月から販売を開始しよう!みたいな状況だと、毎年完売して圧倒的にファンが多いみたいな特殊要因がない限り販売件数が減っていきます。どれだけ遅くとも10月1日にはちゃんと売れる状況には持っていきましょう。

おせちの平均的なリピート率は?

コロナ禍においておせちは追い風でした。海外に行かないのでシンプルに商圏内人口が増えた事を感じています。但し。売れたから人気!と捉えると大失敗します。

一つ失敗事例を。おせちで4,000万円程売られるご支援先。毎年12月10日くらいには売り切れるため、高いラインナップを準備しました。製造キャパの問題で件数は増やせないため、単価を上げて売上を上げる!という戦略でした。

初年度は効果テキメン!通常の商品の1.5倍の商品を作り、それが完売したので売上は伸びました。しかししかし…翌年かなり苦戦しました。なんとか完売しましたがそれは12月30日。在庫余るのでは!?と危ないところでした。

これを分析すると明らかな理由がありました。それが「商品別リピート率」です。
定番:昨年購入者の再注文率が56%
新作:昨年購入者の再注文率が23%

なんと定番の半分というリピート率だったのです。つまり、獲得したお客様の77%がもう買ってくれなくなったという事でした。これが「高額×低頻度商材」の怖いところです。

頻度が低いのでどうしてもABC分析で見てしまいますが、大切なのはそれが支持されているかどうかです。だからこそ、「商品別リピート率」はお願いします。顧客分母が「全体」「新規様」「リピーター様」の3種類で出せると尚更良い感じと思ってください。

その上で。「昨年購入者の再注文率が30%以下」もしこのような場合は、是非とも商品力を疑ってください。ご満足頂けていないと捉えた方がよく、おせちの事業化が難しいと言えます。

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