八木は、統一協会と自身の関係についてこう述べる。
旧統一教会本体とは過去も現在も付き合いはないが、関連団体からの教育や家族法制になどに関する講演やシンポジウムへの出講の依頼には応えてきた。共産主義や文化マルクス主義への警戒心を共有できたからだ。
関わりを持ってきた人間は、全員とりあえず「本体とは付き合いはない。関連団体だ」と発言するが、それを聞いて「そっか、じゃあ関係ないんだね♪」と考えるアホがいるとでも思っているのだろうか。
むしろ、それを聞いたことで、「コイツあやしい」と確信に近づくのが一般的だと思うのだが。
……と思ったら、八木、みずからその確信に向けて薪をくべた。
日刊紙「世界日報」は、米国の左翼事情など重要な情報を提供してくれる貴重な媒体だ。これまで「世日クラブ」での講演内容や、夫婦別姓や同性婚に関する判決のコメントが掲載されている。産経新聞や朝日新聞などと同じように世界日報にも対応してきた。
さすが「世界日報」のPRをつとめる男だ。
「統一協会の機関紙ではない、独立した日刊紙だ!」という世界日報の言い分をコピペ拡散する八木だが、そもそも文鮮明が創立した新聞だ。私が調べた裏事情(「『よーしゃなき【論破祭り】VS.男系固執カルト』小林よしのりライジング Vol.445」)からも、統一協会と一体であることは確実である。
購読者を増やすために宗教色を隠しているにすぎず、統一協会本体が、正体を隠して勧誘活動する手法となんら変わらない。八木は、まんまとその片棒をかついで、世界日報の理想どおりのPRをして見せたわけだ。
そんな八木、マスコミから「統一協会の会員ですか?」等々の質問を浴び、メディアやSNSで発言が拡散されて「血祭り」に上げられているという。
統一協会系の講演で「同性愛の多くは治癒可能」などと発言してきたうえ、7月末にも自民党の委員会で、LGBTについて「後天的だという意見もだんだん有力になってきている」などと述べたのだから、記者たちが取り囲んでそう質問するのも自然なことだろう。
旧統一教会との「接点」を捜し、糾弾する風潮は狂気を帯びている。中世の欧州での「魔女狩り」や、中国の文化大革命時の紅衛兵の姿を思わせる。「隠れキリシタン」捜しのようだとの指摘もある。「接点」のある者を探し出してはメディアやSNSで血祭りにあげる。全体主義的で恐怖を覚える。カルトの色彩さえ帯びている。
いやいや、あなたがカルトの色彩を放っているんですよ!
統一協会が、反日・反天皇のカルトなの!
しかも、あなたの場合、「接点」どころの話じゃないですから!
「点」じゃない、「面」です。いや、「凸」と「凹」です。立体的に一体です!
血みどろの八木は、ここからさらに爆走しはじめる。
今年の参院選での自民党の全国比例区での得票数は1,825万6,244票だが、旧統一教会は7万~8万票の集票力しかない。比例区では単独で1人当選させることも難しい。これで自民党を支配できるはずがない。「安倍氏の力の源泉」ともならない。
八木と同じく、「統一協会の規模では、“票田”とまでは言えない」と否定する意見はよく見かける。関係団体を含めても、「最大で15万票」というのが、私の読んだ記事のなかで一番大きな数字だった。
たしかに、8~15万票では、選挙区当たり最大数百票となり、「統一協会の票だけで当選させたのか?」という話になると、計算が合わない。
だが、過去の参院選で、安倍がその8万の教団票の割り当てを懇願されて応じたり、あるいは、頼まれても「今回はちょっと」と断って、別の候補者のために振ったりと、重要視していたのは事実だ。
ではなぜ「8万票」を貴重に扱うのか?
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