統一教会をとことん擁護。自民が重用するエセ保守論客・八木秀次氏のトンデモ論考

 

それは、選挙においては、集めてきた名簿をもとに電話をかけまくって投票を依頼する「電話作戦」が重要だからだ。「電話作戦」は、相手からガチャ切りされたり、怒鳴られたりするため、ボランティアスタッフには嫌がられる。その点、統一協会の信者は、熱心にこの嫌な仕事を引き受けるため、戦力として非常に有効なのだ。

安倍の地元・山口県で、父親の晋太郎の代から30年間、安倍の支援をしてきたという後援会関係者は、以前は、安倍晋三事務所から目と鼻の先のビルに、統一協会の下関支部が入居しており、協会の人間が御用聞きのように安倍事務所を訪れていたと話していた。衆院選はもちろんのこと、参院選になると名簿を持ってやってくるので、安倍事務所が「電話作戦」の会場を開放していたことも証言していた(2022.9.25 ANN NEWS「『最初は警戒していた』元関係者が語る“安倍氏と旧統一教会” 距離を縮めた背景とは」)。

また、選挙スタッフだけでなく、候補者のモチベーションを高めるにも、統一協会は有効だった。

安倍派議員の元秘書によれば、「選挙区内にいる統一協会の有権者数は、まるで大したことがない。それは分かっていたのだが、20年以上前のこと、全面的に支援してくれるというので一度、議員と統一協会の会合へ出た。すると、全国から呼び集めたのであろう統一協会の信者が、会場にすし詰め状態で押しかけて『○○先生、ガンバレー』と大声で叫んでいた」という(2022.8.3 DIAMOND online「統一教会『集票力は低いのに影響力大』の謎、安倍派議員元秘書がタネ明かし」)。

有権者が直接働きかければ、議員や立候補者もそれに反応する。すし詰め状態で押し掛けた人々に大声で応援されれば、高揚して「がんばってみなさんの希望する政策を叶えます!」なんて誓ってしまい、結果的に、「統一協会のためにせっせと働くズブズブ議員」として仕上がってしまうのではないだろうか。

当落ラインぎりぎりの議員ならば、なおさらだと想像するし、そんな貴重な「集票マシン」と高揚体験のきっかけを与えてくれた安倍晋三には、忠誠を誓うことになるだろう。

得票的にも、精神的にも、まさしく「力の源泉」である。

だが八木は、熱心に「統一協会のチカラ」を過小評価する。

(政治献金について)教団の名称変更時の文部科学大臣で政治介入が指摘される下村博文氏の世界日報社社長からの6万円が最高額だ。教団は形式要件を備えているのに許可しない場合は訴訟も辞さないと望んでおり、下村氏の介入の余地はないが、わずか6万円で危ない橋は渡るまい。

下村博文と言えば、加計学園事件で、受け取った政治資金を収支報告書に記載しておらず、それが発覚すると「11人から受け取った。それぞれ記載義務のない少額だったので記載しなかった」という脱法発言で逃げ切った人間だ。まったく信用できない。

さらに、麻生政権時代、支持率が低迷していた衆院選では、統一協会の信者に「今度の衆院選で有田芳生さんが東京11区から出馬する。落とすために対抗馬の下村博文さんを応援してください」という指示があったことも暴かれている。

下村の選挙事務所に集められた信者は、有田氏を中傷するビラを渡されて、数時間かけてポスティングしたという。事務所にもどると、下村本人が労ったらしい。

下村は、政治献金ならぬ、政治“献身”をちゃっかり受けているのだ。

そのうえ、政調会長として臨んだ昨秋の衆院選前には、統一協会から「家庭教育支援法と青少年健全育成基本法の制定を目指してほしい」という陳情を受けて、選挙公約への反映を指示した疑いも浮上している。

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