プーチンに正義など無し。それでも「ロシア擁護」のバカにつける薬

 

で、なぜこれ、この動員が必要になったかといえば、これは例のウクライナ東部でハルキウ州のほぼ全域をウクライナ軍が解放するに至った電撃的な進攻。それによってロシア軍が壊滅的な打撃を受けて敗走することになった。およそ東部におけるロシア軍の存在というのはほとんど壊滅に等しい状況に、今現在なりつつあると。その原因はウクライナ軍の進攻によって重要な拠点が次々に落とされ、今まさに落ちようとしているリマンという場所がありますけれど、そこが鉄道と道路の補給中枢で、そこを押さえられたとき、東部にいるロシア軍の命脈は完全に絶たれてしまう。だから今そこを巡って極めて激しい戦闘が行われているようですけれども。これがおそらく東部の戦争に関しては大きな分水嶺になるのではないかなという気がしております。

その原因を作ったのは、一つはロシア軍の作戦なるものの稚拙さがあり、結果として補給を絶たれたりしたために、兵士の損耗が非常に激しくて、兵士不足の状況に陥っている。武器に関してもそうで、ロシア軍の補給拠点をウクライナ軍がずっと叩き続けてきたことが、ここにきてようやく大きな戦果につながったという話ですよね。

(動員は)その状態を改善しようと、ロシア軍から見て「改善」しようということなのだと思うのですが、予備役の人も既に最前線に立たされているそうですよ。なんと戦車兵までやらされていて、全くの訓練なしでそのようなところに放り込まれていることが現に明らかになっています。これって、仮に30万人動員されたとして、まさにウクライナ軍側からすれば、ロシア軍の軍服を着て銃を持って立ち向かってくる人たちの中に、その人たちがいるわけで、これ、区別できるわけではないですよね。(予備役の兵隊が)生き残るのは大変なことだと思います。それが分かっていてやっているのかもしれません、ロシア側はですね。

で、この兵士の動員計画、予備役動員計画に連なる極めて恐ろしい計画が、2つめのプーチンの提案の中に入っていて、それがウクライナの東部から南部に至る4つの州を強制的にロシアに併合すると。プーチン大統領がそのように自分で言っているわけではなくて、住民投票が行われてロシアに入りたいということがあるのなら「認めよう」みたいな話なんですが。自分で仕組んでおいてそれもないだろうとは思いますが。確か日本時間の夜8時くらいですから、あと30分か40分後くらいにプーチンさんは赤の広場の大集会、記念集会で発表するのではないかと言われています。もうそこはロシアですよ、という話。で、ロシアだということになると、そこでウクライナ軍が軍事行動を行えば、それはロシア領の侵害になるから、それに対しては持てる軍事力のすべてを使って排除するぞと。これはハッタリではないぞ、という脅しまでありましたね。

そのことのために、わざわざ編入ということをするのかなという気がしますが、「4州がロシアになりました」というふうに、これ国連も認めないと言っていますし、日本の岸田総理も認めないと言っていますが、この4州にいる人はロシア国民、ロシア人になるわけですよね。ということは、予備役の動員もそうですし、場合によってはこの4州に関してはまさに係争地ですから、総動員をかけると大統領令を補充ないし書き換える…大統領なんかはいくらでも書き換えることが出来そうですから、そうするのではないかという恐ろしい想像が出来ますね。

ということになると、ルガンスクからヘルソンに至る4州の成人男性には総動員をかけて全員にロシア軍の軍服を着せ、銃を持たせたり持たせなかったりして最前線に放り込むと。そしてウクライナ軍を攻撃するよう命じると。これに従わないものは逮捕するなりその場で射殺すると。こういう軍の論理の中でこの人たちを使うという恐ろしい計画なのではないかなという気がしております。

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