ウクライナ政府は予備役で招集されたロシアの兵隊に対して「ウクライナに投降しなさい」と、死なないように、是非こちらに投降してくださいと呼びかけているようです。それが分かってしまったら、監視しているロシアの将校は予備役の兵を後ろからでも撃つのだろうと思いますが、場合によっては軍の中に反乱が起こる可能性もありますよね。つまり、軍事的にハッキリした成果を示してその政治目標を達成しようということからしても、ロシア軍、プーチン政権のやっていることは理に合わないと言いますか…。不思議なんですよね、場合によっては世界最高の軍隊とか2番目だとか、そんな言われ方をしたロシア軍だと思うのですが、もはやその面影はなく。さらにロシア製兵器の国際的な信用、まあ、以前は安くて値段の割に良い兵器、みたいな感じがあったようなんですが、そうした評判もガラガラと落ちていった。
ロシアは本当にボロボロになりつつあるなという感じです。きょうどこかのテレビ局でやっていましたが、カザフスタンも予備役については批判をしているようですね。カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスタン。みな「スタン」かつくので「スタン系」なんて言ったりしますが、中央アジアの国々、それぞれにロシアに依存していた、もともとは同じくソ連邦の構成国だったわけですが、今は独立してそれぞれの国になっていますが、カザフスタンも北部にロシア人の多い地域があって、そこに分離主義者がいて。
つまりウクライナとほとんど同じ構造なんですよ。カザフも。表向き軍事同盟を組んでいますから、ロシアがNATOと戦争になったら、カザフスタンはロシア側で参戦しなければならないはずなのですが、はたしてそうなるのか、分からないくらい、実は対立の要素を抱えている。今度のことがきっかけでカザフも頼る相手をロシアから中国に乗り換えるという判断で動くのではないかという観測がなされているようですね。
どちらにしても、世界中から孤立して、まあ、どこにも友達がいなくなってしまっている感じですね。当然ですよ。「そうは言ってもロシアにも言い分があるのだ」とか、「歴史的な原因があるんだよ」とか、「ウクライナにも悪い点があるんだ」、「ウクライナだって虐殺している」みたいな話というのは、申し訳ないのですが、そういう冗談はやめてほしいと思います。
どんな理由があっても、国境を越えて19万人の軍隊を送り込んで占領した町で一般住民を撃ち殺し、いくらでも証言はあるのではないかと思いますよ。あるいは拷問。ということを数限りなく繰り広げてきた軍隊と、それをやらせている政権に何かくみ取るべきもの(正義?)があるのか。という気がしております。
ということで、戦争はもちろんこれ以上ない方が良いのですが、ウクライナ側にとって戦争をやめる理由なんかないですよね。だって、家の中に銃を持った奴が入り込んできているのに。私は平和主義ですからやめてくださいとか、私はあなたを攻撃しませんなんて言えます?これ、おかしいでしょ。ですから、停戦の提案もウクライナがしたって良いのだというような話は、何を寝ぼけたことを仰っているのかと私には思えます。
(『uttiiジャーナル』2022年10月2日号より一部抜粋。全てお読みになりたい方はご登録ください)
この記事の著者・内田誠さんのメルマガ
image by: Swach / Shutterstock.com









