こういう、およそ考えつく限りの卑怯な方法というものを実際にやられるのをみると、この人たちに一分の理でもあるのだろうかという気がしてきます。ロシアならやりかねないよねと言って半笑いで済ませるわけにいかない話ですよね。
そしてこういうことのすべての前提の上に、我々は核を持っているのだということを色々な形で脅迫することも忘れていないと。こういう形にすることについてはかなり前から計画がなされていたのでしょう。ただ、戦況が全く思わしくなかったので、2月24日開戦以降、キーウという、ロシア語ではキエフという、そのキーウの攻防戦でも予想に反してロシア軍が大敗北を喫すると。それから東部に関しても今回のような形になると。とにかく当初は1日か数日で戦争が終わると考えていたのが、とんでもなく長期化していて、ウクライナ軍に散々ロシア軍は苦しめられていると。もっと早くやりたかった東部2州の住民投票。これをクリミアの方までつなげ、南部の2州もつなげて住民投票でロシアに編入すると。基本的にはもとから(計画が)あったのでしょう。でもずっと住民投票をやると言っては延期されることが続いていた。その原因の一つは各州内で反対する人たちの行動もあったのだと思いますが。そういうことになったわけですね。
そのようなところに至る決定的な要素として実際東部でロシア軍が完全に敗北して、壊滅的な打撃を受けてしまったということがあると思います。
軍事的にいわば安定した状態をロシア軍が保てていればもっと早くに住民投票が行われたのでしょう。その間にものすごい数の犠牲が出ているのですが、少なくとも表面上はお構いなしに戦争を続けるとプーチンさんは言い続けている。そういうことになっている。ただ今回のこの事態については、今までだったら、国内の反対論は無理矢理押さえつければ、それ以上の反対運動は起こらない、メディアは全部「外国の代理人」ということにして押さえつける。これで反対は全部抑え込んだと思っていたのとは、大分様子が違ってきていて…確かにそれは積極的にプーチンさんを攻撃する、否定すると言うよりは、どちらかというと「逃げる」方向ではあるのですが、それでもロシア市民は対応しているようですね。
いわゆる予備役動員に関しては、各国に逃げると。パスポートさえあればいける範囲の国。とりわけトルコは短期滞在が出来るので、そこに向かう人が殺到したようですが。そのほかジョージアとかアルメニア、そういうところに国境を越えて大勢の人たちが雪崩を打って逃げていったと。そんな形ではありますけれど、プーチンさんの意図にそのまま従うわけではないという意志を多くのロシア市民が示している…これが現状だと思います。
先ほども言いましたとおり、30万、あるいは120万の予備役の人たち。あるいはもっと多くの、総動員にかり出される市民、彼らに軍服を着せて最前線に立たせても、ロシアの軍事力が強化されることはないのではないかと思います。先週言いましたように、国境警備みたいなところにいる職業軍人とか契約兵とか、そういう、場合によったら実際の戦闘経験のあるような人たちをかき集めてウクライナに投入する、その空いた場所に予備役の兵士をあてがうというようなことはあり得るかもしれませんけど、それとても非常に大きな計画というか、緻密な計画がなれば様々ほころびが見えてくるだろうと思いますね。
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