中国の背中すら見えず。日中国交正常化50年で低下した日本の国力

 

前進する中国

今や中国の人口は14億を超え、世界の工場という地位を確立、経済は急成長した。もともと社会主義国であった中国であったが、1978年に鄧小平が「改革開放路線」を打ち出して以降、経済は急成長を遂げる。

その背景には、10億を超える世界最大の人口を下支えに、「豊富」かつ「安価」な労働力があったからだろう。

2008年のリーマン・ショックでは世界中の経済が落ち込むなか、しかし中国は大規模な財政発動で金融危機に対しる。

結果、先進国よりも早く経済を立て直す。そして2010年ごろには、日本を抜いてGDPが世界第2位にまで達した。

一方で、高い経済成長率が持続的に続いた中国では人件費も高騰、近年では「世界の工場」の役割は、ほかの新興国に移りつつある。

中国における産業の主役は、製造業からIT産業へ。とくに2010年代以降のIT産業の発展は日本とは違い、目覚ましいものに。

具体的には、アリババやテンセント、バイドゥ、TikTokやファーウェイなどのグローバル企業が台頭してきた。

1989年時点で世界の時価総額トップ50にランキング入りしていた中国企業はゼロ。しかし2022年1月時点では、世界の時価総額トップ50でランキング入りした日本企業はトヨタ自動車のみ。

それに対し、中国は5社もランキング入りしている。もはや中国と日本とを同列に比較すること自体、中国に対し失礼だろう。

逆行する日本 円の実力 50年前と同レベル

日本の経済状況は悪化し続けるばかり。今年2月には、円の総合的な実力が50年前と同水準になった。実質実効為替レート(BIS)が2月20日に発表した2021年の12月の実質実効為替レートが、1972年の水準と近づく。

実質実効為替レートとは、実質実効為替レートや日銀が定期的に発表している「実効レート」と「実質レート」を組み合わせた指標(*5)。

そのうち実効レートは米ドルなど特定のひとつの国の通貨ではなく、幅広い貿易相手国や地域の通貨と円との為替レートを考慮した値だ。各国との貿易量に応じて加重平均し、日本の貿易実態に即した円の強さを示している。

他方、実質レートは日本と様々な国・地域との物価変動の違いを調整した為替レート。これに対し、海外旅行の際に外国通貨と交換したりする値を名目レートだ。

今回、円の実力が50年ぶりの水準に落ち込んだのは「長年の物価上昇の弱さ」を反映した長期的な実質レートの下落に、「国内外の金融政策の違い」などを反映した最近の名目レートの円安が重なったため(*6)。

そもそも、バブル崩壊以降、国内でデフレや低インフレが続き、海外とのインフレ格差はじりじりと広がってきた。日中の差は拡大し続けるばかりだ。

引用・参考文献

(*1)西日本新聞 2022年9月30日付朝刊

(*2)西日本新聞 2022年9月30日

(*3)西日本新聞 2022年9月30日

(*4)筒井 幹雄「独自外交で疎まれた角栄、米高官の仕掛けで逮捕 国際ジャーナリスト 春名幹男氏に聞く」東洋経済ONLINE 2020年12月11日

(*5)大塚節雄「円の実力、なぜ50年ぶり低水準に 再浮上はあるか」日本経済新聞 2月20日

(*6)大塚節雄 2月20日

(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年10月9日号より一部抜粋・文中一部敬称略)

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伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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