『ミヤネ屋』に逆ギレ抗議文を送った統一教会の大嘘。「世界日報」元社員が徹底反論

2022.10.18
 

①について。世界日報側は、世界日報社は、「統一教会系の団体」や「旧統一教会」と「資本関係はない」としているが、これは恐らく、団体として株主になっていない、という意味だろうが、そんなことは問題ではない。

世界日報は私がいた当時、都内で数千人しか購読者がおらず、外部からの広告費も微々たるもので、とても自前でやっている財政状態ではなかった。そのため、霊感商法問題で有名になった、統一教会の経済活動を統括していた商社ハッピーワールドなどから運転資金を補填してもらっていて、ハッピーには頭が上がらないというのは、社内では公然の事実だった。

そうした事情については、当時の木下編集局長など幹部がしょっちゅう口にしていた。政治部、経済部、社会部、外報部、整理部、校閲部、庶務部など、編集局の主要な部門と、局長の席は、一つのフロアに集中していたので、ほとんどの社員が情報共有していた。社員一人当たりの給料は独身者の場合、月5~6万円だったが、それさえも滞ったり、減額になったりしていた。どうしてそれくらいの給料しか出ないのか、しかも、どうして不安定なのかについて社員たちは当然関心を持っていたし、幹部たちも事情を話さざるを得なかった。

社員の9割くらいは統一教会の信者(他の新聞のOBで顧問的な立場で再雇用されている人たちは信者ではなかった)だったが、信者でも生活費がないと生きていけない。世界日報は、取材などの関係で外の世界との付き合いも多いので、統一教会系の他の団体に比べると、社内で俗っぽいことを平然と言う人が多い。

財務関係についてよく覚えているエピソードをいくつか紹介しておこう。世界日報は記者クラブに入っていなかったので、いろいろと取材がやりにくかった。そこで、岩田氏の前任の編集局次長だった人に、「うちはなんで記者クラブに入れないんですか。統一教会だからということで、クラブから拒否されてるんですか」と、率直に尋ねたことがある。その人は、私を含めてその場に何人も社員がいる場で、「クラブに入るには会計を含めて、いろんな情報開示しないといけない。会計なんか明らかにできるわけないよ。機関紙的な体質であることがバレるだろう」と説明した。岩田氏もその場にいて、ふんふんとうなずいていたと思う。

1992年に、桜田淳子さんも参加したので話題になった合同結婚式があった。それがきっかけで、今回のように、ワイドショーで連日、霊感商法問題を中心とした統一教会批判が繰り返された。その余波で、3カ月くらい、1円も給料が出なかった。そのうえ、統一教会本体が、北朝鮮向けの事業を中心に新しい事業を展開していたので、世界日報の社員にも献金することが求められていた。みんな切羽詰まっていた。整理部の次長だった先輩から、「この騒ぎで、ハッピーワールド自体が切羽詰まっている。いつも金を使うだけの世日に回す金なんてない。ハッピーから何も来ないから、社の米櫃が空だ。給料が出るはずない」と言われたのを記憶している。

給料が出ないのはハッピーワールドからのお金が滞っているせいだと、当時の社員たちは認識し、将来に不安を抱いていた。私が脱会を決意するきっかけになったのは、「祝福」を受けた相手との関係と並んで、この時に感じた将来不安だ。当時、このまま世界日報でやっていけるのかと迷っていた社員は少なくない。信仰はやめないまでも、世界日報本社はやめて、実家に帰って何か独自の事業を始めることを計画していた人たちもいる。

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