『ミヤネ屋』に逆ギレ抗議文を送った統一教会の大嘘。「世界日報」元社員が徹底反論

2022.10.18
 

編集局次長兼庶務部長だった岩田氏は、そうした社員の不安を鎮める責任があったはずだ。本当にハッピーワールドと財務上関係ないのであれば、「給料が出ない理由は、ハッピーワールドや統一教会が困っているせいではないんだ」と、社員の認識を正すべき立場にいた。でも、そうした説明は一切なかった。それどころか、編集局長をはじめ幹部たちは、こういう情勢で、お金がこないので給料が出ないのは仕方ない、俺たちも苦しい、信仰で乗り切るしかない、というようなことをしょっちゅう言っていた。

私は92年4月に東大の大学院に受かって、しばらく院生をしながら仕事をしていたが、10月に世界日報と統一教会をやめる決意をした後、院生用の奨学金を申請した。その時、大学院係で、「会社を辞めるのなら、退職金が出るでしょう」と聞かれて、世界日報なんてところから退職金なんてものが出るわけないでしょ、と内心思ったが、単に「いや出ません。小さい会社なので」と答えたところ、では、「退職金を出せないという証明書」をもらってきてください、と言われた。それで、庶務部長だった岩田氏に、退職金を出せない証明書を出してください、と頼んだ。最初は、妙な目的に使われるのではないか、と怪しんだ風で、難色を示していたが、外で騒がれると面倒だと思ったのか、しぶしぶ出してくれた。

その他、私が祝福を受けた相手の女性との婚約関係を解消して、統一教会と世界日報をやめるに当たって、編集局長夫人と岩田氏と何時間か話をした。ハッピーワールドからお金が来なくて苦しい状況で、将来の展望が開けないというのも大きな原因だということはその時の会話の前提だった。

もし私が間違った認識に基づいて退社したのだとしたら、部下である記者に正確に情報を伝えるべき編集局次長という立場にいた岩田氏は、「私たちはそんなことを言った覚えはない。どうして、ハッピーワールドや統一教会に財政的に依存していると思ったのだ?」、と、私に尋ねるべきだろう。というより、抗議文を書く前に、そんな認識のギャップがあったことを、不思議に思っているはずだ。

自分たちはきちんと伝えたという自信があり、当時のことをしっかり覚えているのであれば、給料をもらえないことに不満を募らせて脱会した私に、いきなり抗議文を送ってくるようなことはせず、まず、実際はこういうことだったんだ、と伝えたうえで、私に訂正を求めるのではないのだろうか。そうしなかったのは、自信のなさの裏返しか、形だけの抗議文を仕方なく送らされたのかのどちらかだろう。

私が入社する以前の話だが、月刊誌『文藝春秋』1984年7月号に、かつて「世界日報」編集局長だった副島嘉和氏が、旧統一教会の実態について内部告発する記事を寄稿している(同氏は、その後何者かに襲撃されている)。統一教会の広報局長も兼ねていた副島氏は、この記事の中で、赤字を教団から補填してもらっていたと書いている。教団から、人事面でだけでなく、会計面でも独立を図ったところ、解任されたということである。

私が入社した1990年4月の時点では、資金提供を受けている状態が解消されていたけど、私たち社員には依然として資金的に依存しているかのように嘘を付いていたということなのか、それとも副島氏の証言は丸っきり嘘で、最初から資金面で依存していなかったのか、ということか。後者の場合、実際にはどういうやりくりをしていたのか。

副島氏や私だけでなく、多くの人が世界日報が統一教会系の企業に資金面で依存していることを証言している。全て嘘だというのであれば、疑いを一掃するため、株式や借入金、通常の運用資金はどこから得ているかなど、財務に関する情報を可能な限り開示すべきだろう。そうしないで、恫喝のような真似をするのは、痛い所を突かれたということだ。

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