イーロン・マスク氏が率いるSpaceXが衛星ブロードバンドサービス「Starlink」を日本でもスタート。申し込んで専用アンテナなどの機材が届くと、個人でも高速大容量の衛星通信が可能な時代がやってきました。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、いち早く申し込みを済ませていたケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、自宅に設置して3日ほどの利用で気づいたことなどをレポート。決して安価ではないものの、災害大国で通信障害の頻発も問題となっている日本においては、「いざという時」の強い味方になると感じているようです。
この記事の著者・石川温さんのメルマガ
衛星ブロードバンド「Starlink」は設置場所に注意
今週、我が家にStarlinkのアンテナがやってきた。初期導入レポートはCNETに掲載中なので、そちらを参照して欲しい。記事を執筆して3日ほど経過し、興奮状態もだいぶ収まってきたので、冷静にStarlinkについて語ってみたい。
まず、驚きなのが、契約手続きの簡便さだ。ウェブから名前と住所、クレジットカード番号ぐらいしか入力していない。それだけで、アメリカから衛星アンテナが届いてしまうのが驚きだ。
衛星ブロードバンドとなると、別に日本の会社と契約する必要はない。クレジットカードさえあれば、世界中の通信会社と契約でき、日本で通信が使えてしまうというのが素晴らしい。5Gの据え置き型Wi-Fiルーターも契約には本人確認が必要だが、それすら要らないのだ。自宅にアンテナが届けば、あとはベランダに置いてコンセントを刺せば、アンテナが勝手に衛星を探して通信が使えるようになる。
CNETの記事では200Mbps超が連発と書いたが、衛星アンテナにつながっているWi-Fiルーターの近くで計測するとそれぐらいの数字が出る。我が家は3階建てなのだが、1階で測定すると当然のことながら速度は落ちる。10~50Mbpsといったところだ。
また、現在は3階にあるベランダに仮置き状態であるため、空がすべて見渡せる場所ではない。アンテナのすぐ横は部屋の壁、反対側は手すりの壁があるため、衛星アンテナが求める7割程度しか空が見えない状態となっている。
そのため、常に通信がつながっているわけではなく、数十秒に1回、オフラインになってしまう。つまり、ウェブ閲覧でも時々、反応しなくなる時もあるし、おそらくビデオ会議には使えないと思われる。
ただし、現在は仮置き状態であり、早急に業者にお願いして、空が完全に見渡せる3階の屋上に設置するつもりだ。これであればアンテナが求める100%で空が見えるようになるため、常時、通信が可能になることだろう。
都心部にあるマンションのベランダに設置するというのは、不可能ではないが、常時通信は難しく、こまめに切断されるという点は注意した方がいいだろう(切断されたからと言って再接続のような作業は要らず、勝手につながってくれる)。
月額1万2300円は、決して安くはないのだが、数年前までキャリアに対してスマートフォンの通信料金として1万円以上支払っていたことを考えると、なんとか許容範囲とも言える。菅さんのおかげで複数回線を保有していても、金銭的な負担が軽減したのはありがたい限りだ。アンテナ代も7万円以上するが、昨今のスマートフォンに比べれば、べらぼうに高いというわけではない。
我が家の周辺は住宅が密集しており、大地震で電柱が倒れれば簡単に光回線が切れるのが目に見えていた。都心で大地震が起きればすぐに回線の復旧は難しいと想定されるだけに「いざという時のため」と割り切って、衛星ブロードバンドを導入した次第だ。
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image by:JL IMAGES/Shutterstock.com