もう中国生産は維持できない。これから日本のビジネスはどう変化していくのか?

JIANGXI CHINA-Nov 26, 2012, Yangtze River Industrial Park, Vico printing dyeing Knitting Co. Ltd. production workshop, workers are sewing processing apparel products exported to Europe and america.
 

4.トレンドより歳時記

最近、トレンドがトレンドではなくなっている。コロナ禍でコレクションや見本市が中止になり、トレンド情報が途切れた。そして、ショップが閉鎖されていたので、消費者は新作ファッションを購入することもできなかった。家にいる時間が長くなると、無駄な服が見えてくる。最低限の服だけを残して「断捨離」した人も少なくなかった。

新しい服を買わなくても、外出する機会も減ったので困らなかったのだ。そして、感染者数が落ち着いて、旅行が解禁されると、旅行に着ていく服が売れた。

服は必要に応じて購入すればいいのであって、トレンドを追いかけて購入するものではない、という考え方が広がっていったようだ。

次第に、トレンド情報よりもアパレル製品を購入する動機となる、季節の変化、行事、行動等が重要になっている。

俳句を詠む場合、季語を集めた「歳時記」が重要になる。ファッションにおいては顧客の生活歳時記が重要になっているのだ。

季節の変化や歳時記を基本にした商品計画は、和装業界では常識である。そして、70年代頃までは、アパレル製品の分野でも歳時記が重要だった。80年代になり、ファッション雑誌がトレンドを紹介するようになったのである。その意味では、70年代のアパレル企画への回帰ともいえるだろう。

そもそも日本の生活者は季節の変化に敏感だった。季節を愛でることも日本の文化であり、ここにもグローバルからローカルへの流れが感じられる。

編集後記「締めの都々逸」

「分断分裂 世界は変わり 足元見つめて 暮らしてく」

ファッションはなくなりません。アパレル製品もなくなりません。中国生産もなくなりません。日本のアマゾンで販売しているアパレル製品の7~8割は中国製とのことです。

もし、アマゾンの購入が増えれば、中国企業が扱う中国製アパレル製品が流通することになります。つまり、アパレル企業が変わり、ビジネスモデルが変わるということです。

私の友人の企画会社は、日本の大手アパレルの仕事が減り、アマゾンの仕事が増えたと言っていました。日本市場で売れる商品が予測できることが重要なのです。こうした変化がアパレル業界内で次々と起きると思います。

国内生産をするなら、高い価格でも売れる商品を企画、生産、販売するしかありません。規模は小さいけど、デザイナーズブランドで手堅いビジネスをしている人もいます。

既存の企業は大変ですが、新規で起業するならやりようはあるということですね。(坂口昌章)

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