ただの丸投げ。コロナとインフル同時感染から国民を守る気ゼロの日本政府

 

フランスの最新の新聞報道によると、第8波が押し寄せているフランスでは、現在、1日に6万人を超える感染者が出ており、その数は増加し続けているそうです。特に北部と東部で感染が広がっており、年齢層では70歳以上の高齢者の感染が多いと言います。そして、新型コロナとインフルエンザだけでなく、感染性胃腸炎などの季節性の感染症も急増しているそうです。

フランスの保健当局は「過去2年間、人々はマスクをし、手洗いやうがいなどを徹底していたため、インフルエンザは流行しなかった。そのため、人々はインフルエンザに感染しやすくなっている」と警告しました。どういうことかと言うと、毎年、冬のインフルエンザの流行時に感染しなかったと思っている人も、実は微妙にウイルスを吸い込んでいて、免疫によってウイルスをやっつけていたのです。これを毎年繰り返すことで、免疫力が強くなり、同じタイプのインフルエンザウイルスであれば、感染しにくい身体になっていたのです。

しかし、この2年間は、大半の人が新型コロナ対策でマスクや手洗いを徹底したため、副産物的にインフルエンザが流行しませんでした。そのため、ほとんどの人はインフルエンザに対する免疫力が低下しており、この状態でインフルエンザが流行すると、極めて高い確率で感染してしまうというわけです。特に、現在5歳未満くらいの子どもの場合は、生まれてから一度もインフルエンザに感染したことがなく、免疫がゼロの状態というケースがほとんどなので、大人よりも感染しやすい上に、感染した場合は重症化することが多いと言われています。

新型コロナは季節に関係なく、世界中でほぼ同時に流行しますが、インフルエンザは季節性の感染症なので、気温が下がり空気が乾燥する冬場に流行します。北半球にある日本では12月から2月頃に流行しますが、四季が逆の南半球では、冬に当たる5月~7月に流行します。そして、今年の5~6月に掛けて、オーストラリアでは3年ぶりにインフルエンザが大流行したのです。当時から、多くの専門家が「今年の冬は日本でもインフルエンザが大流行する」と警鐘を鳴らしていましたが、やはり、日本よりひと足速く、フランスで流行が始まってしまいました。

今回のケースで最も恐ろしいのは、新型コロナとインフルエンザに同時感染する「フルロナ」です。英語圏では、風邪を「COLD(コールド)」、インフルエンザを「FLU(フル)」と呼ぶため、「フル」と「コロナ」で「フルロナ」と呼んでいるそうです。ウイルスの種類によっては、お互いに反発し合い、片方に感染するともう片方には感染しなくなる組み合わせもあるそうですが、新型コロナとインフルエンザは相性が良く、すでに海外では同時感染した人の報告が複数あります。

日本の場合は、先に新型コロナの第8波が始まり、少し遅れてインフルエンザが流行しそうなので、当初は「同時感染」よりも「時間差感染」が発生しそうですね。で、そんな時、どうしたら良いかと言うと、辻仁成氏のツイートの翌13日、岸田首相は首相官邸で日本医師会や日本薬剤師会などの代表を交えて「新型コロナとインフルエンザの同時流行対策会議」を開き、その後、国民に対策を発表しました。

しかし、それはとても「対策」と呼べるようなシロモノではありませんでした。何しろ「感染しても病院には行くな」「感染したと思ったら薬局で検査キットを買って来て自分で調べろ」と言うのですから、もはや「公助に期待するな。自助で何とかしろ」という菅義偉スタイルです。これが、政府の「同時流行した場合は、新型コロナが1日45万人、インフルエンザが1日30万人、合計1日75万人の感染者が出る」という試算を元にした自称「対策」なのです。

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