せめて、こういうことで大臣を去るとなったときに、あんた、こうだったからダメだったんだよと、他人から批判してもらわなければダメですよ。それと、説明なんて出来ないんだよ、だって、面白いと思って言っちゃったんだよという話でしょ。これ、大臣でなくてもこの類いの話はダメだよね。何にも分かっていないという感じ。それで岸田さんの任命責任というのは。官邸の記者さんたち、もっと厳しく追及してほしいな。
視聴者の皆さんからいただいたメールの中にも官邸での追及が甘い、緩い、ぬるいということをどなたか仰っていました。実際そうだと思いますが、説明責任はもちろんだけど、任命責任は私にあるといったときに、「その任命責任とはどういう意味ですか」とちゃんと聞き出さなければならない。えっと、どういうことですか?よく分からないでしょ、任命責任があるというのは。普通にいえば、「私には人を見る目がなかった」と岸田さんに言わせなければならない。私には法務大臣に適切な人を選び出す力がありませんでした。私が馬鹿でした。申し訳ありませんと…そういうことでしょう。せめてそれに近いコメントを言わせないと、破壊力がないよね。任命責任という言葉を岸田氏が使った直後に、そこから先に追及の質問が突きつけられなくなってしまう。
記者さんたちも「はい、総理、任命責任認めました」で終わり…っていうね。それ、ダメでしょ。言葉の力はそこから先が勝負だと思うので。そのように意味内容を言い換えていって、本人が語るに相応しい言葉を引き出していくということをやらないと、取材が政治的な影響力を持ち得ない。影響力がどういう形であらわれるか、その言葉によって岸田さん、逆に評判を上げるかもしれないけれど、それはちゃんとしてほしいなというのが私の印象です。
死刑のはんこ発言と統一教会問題に加えてもう一つ、「法相になってもカネは集まらない」という発言。これは多分、法務省全体の悲哀というか、そういう、あるいは自虐みたいなことと関係がありそうなので、葉梨さん自身の考えというよりも、大臣になって3ヶ月、色々な法務省のキャリアーや大臣の近くにいる人々から様々話を聞いているうちに、馴染んだ考え方だったのかもしれませんが。そうはいっても法務副大臣という役職をやっているしね。ご本人だって前々からご存じのことだったのだろうと思うけれど、天下り先が少ないのですよ、法務省の関係って(特に入管)。とっても少ない。私の知る限り。それはそうですよ。産業と関わっていないからね。農水省にせよ経済産業省にせよ、天下り先には事欠かないところもある一方で、法務省あるいは財務省もあまりないかな、外務省も決して多くはない。そういう濃淡があるわけですね。その意味で法務省の役人の皆さんは悲哀を託っているところがあり、「それしきのことで悲哀を託つのか」という根本的な批判も当然あるのですが、他の省の役人に比べて美味しくない仕事だという感覚が法務省全体に行き渡っているところがあると思います。その反映なのかもしれない。
どちらにせよこの3つ、の発言で、とんでもなく法務大臣に相応しくない人を法務大臣に選んでしまった人が岸田総理であって、まもなく機中の人となり、G20などに向かうのでしょうが。どうだろうね。「大変ですね」なんて、他の首脳から気を遣ってもらえるのか分かりませんが。数字がこれからどうなるか、支持率の推移が恐ろしい11月ということになりました。
(『uttiiジャーナル』2022年11月13日号より一部抜粋。全てお読みになりたい方はご登録ください)
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