トランプ登場が発端。不正選挙をおこなってでも覇権を守りたい人々の正体

 

しかし、もしこの流れになって2024年にデサンティスが予備選でトランプを破り、本選でバイデンを破って大統領になったとしても、就任後のデサンティスが本性をあらわしてトランプの路線を継承して覇権放棄をどんどん進める可能性はある。トランプ自身、2016年の選挙に勝って大統領になるまでは、エスタブの仲間のように振る舞っていた。エスタブは騙されて、トランプが大統領になるのを阻止しなかった。デサンティスは同様の演技をしうる。

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さらに考察するなら、米国はすでに覇権放棄屋の大統領を必要としていない、とも言える。トランプが大統領になった2017年、米国はまだ隆々とした覇権国だった。だがそれから6年が過ぎた今、米国の覇権は大幅に低下した(前から起きていた覇権低下が顕在化した)。この6年間、トランプとバイデンの2政権による意図的な覇権放棄策と不慮の超愚策の連続により、米覇権低下と中露など非米側の台頭、多極化がかなり進んだ。これからの2年間で、米覇権低下と多極化がさらに進む。2024年の次期大統領選で米国の大統領が誰になろうが、大して違いがなくなる。トランプが返り咲いて覇権放棄を進めつつプーチンと仲良くするよりも、バイデンが続投して米国の信用を引き下げる間抜けな策を連発し続けた方が多極化が進むかもしれない。すでに人類にとって習近平やプーチンの方が米大統領よりも重要だ。

好戦策のふりした覇権放棄戦略

政治家(指導者)は、タイミングがとても大事だ。タイミングがずれると、良い戦略も無意味になる。時局が求める戦略をたまたま持って権力の近くにいると「良い政治家」になれる。政治家は偶然とか運命の産物だ。強運が必須だ。トランプは2016年に登場した時にすごかったが、2020年の選挙で不正をやられて下野させられたことでタイミングをずらされた。不正をやられるのも政治家の運命(=能力)のうちだ。トランプは、返り咲いたら予測と全く違う新たな驚きの策を連発するかもしれず、だとしたらトランプはすごいが。デサンティスも未確定なので可能性がある。最も予測どおりのくだらなさを発揮しそうなのがバイデンだ。今の米国に一番ぴったりかもしれないが。

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米国の選挙不正だけでなく、新型コロナや温暖化問題、ウクライナ戦争、金融バブルの延命(不況なのに株や債券の上昇)など、延々と続く大規模な歪曲話によってわかったことの一つは、ウソの公式論を延々と軽信してしまう人々の馬鹿さ加減だ。何か違うかも、と感じても軽信の構図から脱却しない人ばかりだ。知識人ほど「マスコミ教」の妄信者だ。人々の理性(道理を見抜く生来の能力)に期待していた私も馬鹿でした。マスコミ権威筋の全体がウソしか言わない洗脳の構図に対抗できるのは理性のちからしかないが、ほとんどの人は教育によって理性をすり潰されている。教育の最大の効用は、理性をすり潰すことだと今ごろわかった。これも頓珍漢な妄想扱いかな。僥倖です。

温暖化対策で非米化の加速

(無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』2022年12月2日号より一部抜粋・敬称略)

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