リモート勤務で激減したスーツの売上。救世主になるのは「ブレザー」か?

Portrait of attractive masculine fashionable modern stylish guy wearing blue blazer, jeans keeping hands in pockets isolated on gray background
 

2.スーツの売上増は一旦諦める

スーツ偏重の日本もコロナ禍でリモートワークが一般化すると、スーツを着用する人が減りました。モニターに映るのは上半身だけですし、画像なので素材感まで分かりません。そこで、伸縮性のあるジャージーのスーツが登場し、大ヒットしました。

このままいくと、重衣料を縫製していた紳士服メーカーの仕事がなくなり、カットソー工場に流れてしまいます。

紳士服メーカーでは、重衣料の復権が大きなテーマになっています。この課題について私なりに考えたいと思います。

まず、日本人男性を二つに分類します。スーツを着用しているグループとスーツを着用していないグループです。

スーツを着用している人達は既にスーツを所有しているので、これまで以上の需要は見込めません。スーツを着ていない人にスーツを着せるのはもっと大変です。

従って、スーツの売上を伸ばすには、スーツの単価を上げるしかありません。安物スーツを着ていた人達に、高級スーツの魅力を伝え、グレードアップしてもらうことです。言うは易しですが、消費者の財布を緩めることは非常に難しい。ということで、スーツの売上を上げるという発想を転換することをお勧めしたいと思います。

3.ブレザー戦略と課題 

普段、スーツを着用しているビジネスマンも、仕事以外の場面ではスーツは着ません。例えば、旅行やスポーツ観戦ではカットソーやジーンズなどのカジュアルウェアを着用するでしょう。

現在は、スーツというフォーマルウェアと、ジーンズカジュアルの両極端のみが存在しており、その中間のスタイリングが消えてしまいました。リタイアしたシニア層は、スーツを着れなくなって、何を着ていいのか分かりません。また、普段、ジーンズを履いている若者も、ちょっとしたパーティーで何を着ていいのか分かりません。いきなりスーツはフォーマル過ぎるのですが、その他の選択肢がないのです。

そういう人々にブレザーを提案することこそ、紳士服業界の使命ではないでしょうか。

但し、ブレザーを提案するのも大変です。まず、スーツの素材は梳毛ウールタイプが主流ですが、ブレザーは紡毛ウールタイプが主になります。つまり、生地の仕入れが変わります。

また、スーツならばほぼ同じデザイン、縫製仕様、付属で対応できますが、ブレザーはデザインの幅も広く、縫製しようも様々で、付属も多様です。つまり、パターンや縫製仕様が変わります。

また、ブレザーになると、コーディネートが重要になります。ブレザーに合わせるシャツ、パンツも提案しなければなりません。素材も色も異なるものをセンスよく合わせるには、スタイリストのような能力が求められます。

以上のように、ブレザーを提案することは実に面倒です。しかし、この壁を突破しないことには先に進めません。

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