4.多様なニーズに対応するブレザー
ブレザーはスーツよりドレスダウンしたアイテムだと言いましたが、フォーマルシーンに対応したブレザーもあります。クリスマスシーズンにZARAが展開するようなタキシード風のブレザーです。パーティーシーンでは、スーツより華やかな印象を与えます。
ビジネス用ブレザーを開発すれば、欧米のような「ジャケット+パンツ」のスタイルにも対応できます。
旅行用ブレザーも有望です。撥水加工や紫外線カットの素材。バッグとのコーディネート。特にシニア層に受けそうです。
山歩きブレザー、マウンテン・ブレザーはどうでしょうか。エベレストに始めて登頂した時の写真を見ると、ツイードのジャケットを着ています。外見はクラシックでも機能性抜群。そんなブレザーがあってもいいと思います。
トロピカルリゾート対応のブレザーもあり得ます。水着の上、Tシャツの上に羽織れるブレザーです。華やかなカラーやプリントで遊び心が表現できます。
日本人の特徴でもある季節感を楽しむようなブレザーも可能です。素材とカラーのバリエーションだけでも季節感を表現できますし、ボタンや裏地の選択による演出も楽しそうです。二十四節気ブレザーもいいかも。
季節感を表現できると、店頭の演出やイベント、ポップアップ出展等でテーマが明確になり、プロモーションもしやすくなります。
以上のように、スーツからブレザーへと発想を転換するだけで、ビジネスの可能性は大いに広がります。
ぜひ、「ブレザー大作戦」に挑戦していただきたいと思います。
編集後記「締めの都々逸」
「ジーンズだろうと チノパンだろと ブレザー羽織れば 決まります」
スーツ屋さんはスーツのことばかり考えています。もっとスーツを作り続けたいんだけど、皆が買ってくれないと嘆いています。
僕は消費者の立場で考えます。スーツは着ないけど、ブレザーは着たいと思います。でも、カッコいいブレザーがありません。ブレザーは素材と色と風合いを楽しむアイテムです。
ブレザーこそ、紳士服衣料の救世主になるのではないでしょうか。欲しいものが市場にないことが、最もビジネスチャンスなのですから。(坂口昌章)
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