それから岸田さんの会見の中で、例の財源の話ですね。これはまた凄い話で、特に与党の議員からすると「おいおい勘弁してくれよ」と言いたい人も大勢いるようで、先ほども言いましたが、増税をやって選挙に突入というわけにはいかないだろうということだと思います。2%を実現するために、2027年度以降ですかね、結局4兆円不足すると。5年間で43兆円というのは凄い大軍拡ですが、そのうちの多くは歳出改革等でなんとかなる(本当かな?)らしいです。あと5年くらいすると足りない部分が出てきて、そのうち1兆円は増税をしなければならない。その検討をしろという指示を与党の税調に出したのが12月8日ですので、真珠湾攻撃の日だね。
(税調は)わずか1週間でまとめさせられた。増税の項目がたばこ税・法人税・復興税。復興税については税率を下げ、その分を新しい税として徴収。税率を下げられた復興税は期間を延ばすことによって必要な金額は確保するという計算らしい。
驚いたのは、官邸の取材をやっている記者さんたちが会見に出ていて、幹事社が読売新聞とかもう一社くらいあったかな。それが差し障りのない質問をしていたのですが、ジャパンタイムスの女性記者が「反撃能力は憲法違反ではないか」というタッチの質問をした。その質問に対して岸田さんの答えは、結局繰り返しだったのですが、それを言うときに、なんかちょっとしどろもどろになってしまい、もとから能弁な人ではないのですが、やっぱり言いたくなさそうでした。
それはそうでしょう。少なくとも戦後我々が選んだ道というのは、憲法9条とかどうとか言う前に、なんとしても戦争を避けようという共通了解があると思います。(今度の大軍拡は)その精神からはほど遠い話で、反撃能力、敵基地攻撃能力にせよ、容易に先制攻撃に結びつく。専守防衛とは水と油、の考え方だと思います。またそのような大転換を、安倍さんに習ったやりかたなのかもしれませんが、閣議決定でやっちゃってその後に国会に諮るということですが、いかにも乱暴な気がします。
(『uttiiジャーナル』2022年12月18日号より一部抜粋。全てお読みになりたい方はご登録ください)
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