そんな事態にならないようにするため、数多くの政治家が水面下で動いてきた。岸田政権を支えている麻生太郎、甘利明氏はその筆頭格だ。
麻生氏と九州電力の仲は特別だ。麻生太郎氏の父、太賀吉氏は1951年に二つの電力会社が合併して九州電力になったさいの初代会長だ。その縁で、九州財界の大物、第9代九電会長、松尾新吾氏(現相談役)が麻生氏の政治活動を支援してきた。
甘利氏と電力会社の蜜月ぶりもよく知られている。2014年1月27日の朝日新聞は、甘利氏が電力会社を所管する経済産業相に就いた06年以降、各電力会社が世間に分からないよう分担して甘利氏のパーティー券を買い続けていた実態をあばいている。
麻生氏は岸田首相の後ろ盾であり、甘利氏は岸田氏が総裁選で勝利したさいの立役者である。この二人が岸田首相の意思決定にどれほど影響力があるかは、推して知るべしであろう。
考えてみれば、岸田、麻生、甘利氏ともに、世襲議員という既得権者であり、政治家の新陳代謝を阻害してきた張本人たちである。彼らが、経産省という天下り既得権者とつるんで原発復活への号砲を放ったのが今回の決定ということもできるだろう。原発だけではなく、あらゆる分野で既得権の岩盤が新規参入を阻み、国の未来に立ちはだかっている。
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image by: 首相官邸