■倉下の2023年の指針
というわけで、今年の倉下の「指針」を確認します。もしかしたら”確認”という言葉は変かもしれませんが、”宣言”というのもちょっと違う気がするので、ここでは”確認”にしておきましょう。
まず、通年というか倉下の全般的な目標が「今年一年を生き延びる」です。年々切実さが増しているテーマですが、なんだかんだいって生物が一年間生命を維持するのって結構大変です。安全が内在化された都市に住んでいるとそのことが見えにくくなるので、しっかり気に留めたいところです。
ちなみに上記の目標の派生として「物書き業を続けられるようにする」もあります。別段物書き業でなくても生命活動を維持する仕事はありますが、それでもこの仕事を続けたいと思っていますし、そのためにやれる努力は続けていきたいと思います。
では、その仕事についてですが、「少なくとも一冊の本を書き上げる」が目標になるでしょう。さすがに365日ありますし、すでに途中まで原稿は書けているので、達成不可能というわけではないはずです。
もちろん状況によっては作業時間がぜんぜん取れなくて……ということもありえるので、そこまで過信はしませんが、ある程度は楽観的に達成可能性を見込めるのではないかと思います。
■新しいノウハウ本の形
執筆についてもう少し野心的な話をしておくと、新しい形のノウハウ本が書けないだろうかと考えています。たとえば「知的生産の技術」について書くとして、「50のテクニック」的な断片的なものではなく、かといってステップを一つひとつあがっていく体系的なものでもない、別のタイプの著述ができないかと考えを巡らせています。
やろうと思えば、体系的なまとめは可能ですし、その方がわかりやすくはあるでしょう。見通しもつけやすいかもしれません。それでも、何かしらの無理がそこにあるような気がしています。取りこぼしているものが大きいような感覚がするのです。
『知的生産の技術』も『思考の整理学』も、断片的でもなくしかし体系的でもないという絶妙なバランスの上で成り立っています。ある部分ではエッセイ的であり、ある部分では文学的であるとも言えます。そういうあり方を目指したいのです。
もちろん、最終的に出てくる形は別様になるにしても、そういう方向性・指向性を持った本が作れたらなと模索中です。そのためのプロトタイプ作りを今年は進めていくことになりそうです。
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