第2の天安門勃発か。3期目迎え神格化を目指す習近平が最も恐れているもの

2023.01.20
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「2期10年」というこれまでの慣例を破り、3期目を発足させた習近平国家主席。しかし今後の政権運営は困難を極めることが予想されるようです。その理由を解説しているのは、外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏。アッズーリ氏は今回、習近平氏がアメリカより自国民を恐れている訳を解き明かすとともに、場合によっては天安門事件以上の衝突が起こる可能性も否定できない、との見方を記しています。

1期目2期目以上に習近平3期目は政権運営が厳しくなる理由

2022年10月、習近平政権の3期目が正式にスタートした。2期10年を終え、慣例破りの3期目に突入したことで、おそらく5年で終わることはなく、ここに習近平の金正恩化が実現されたと言えよう。最高指導部など習3期目の人事をみても側近たちは全てイエスマンで固められ、習カラーは一層強まった。それくらい中国、世界にとっては大きな出来事である。

10月の共産党大会での演説で、習国家主席は2035年までに社会主義現代化を確実にし、中華人民共和国建国100年となる2049年までに社会主義現在化強国を進めていく方針を明らかにし、台湾統一については必ず実現するがそのためには武力行使を排除しないという姿勢を改めて鮮明にした。習国家主席は共産党の党規約を改訂し、その中で台湾独立反対、それを抑え込む趣旨の内容を盛り込んだことから、台湾への圧力も3期目に入ってよりいっそう強化されることになろう。

習国家主席は11月14日の米中首脳会談の際にも、米中関係が競争から衝突に発展することを回避するよう努め、対話のチャンネルを常に維持していくことで一致した一方、台湾は中国にとって核心的利益の中の核心であり、米国が超えてはならないレッドラインだとバイデン大統領を強くけん制した。習国家主席は、「やっとここまで来た!長期政権のもとできるだけ早く米国を追い抜き、俺は中国の象徴、もう1人の毛沢東になる!」と情熱にあふれていることに違いない。

習近平が自国民を最も恐れる訳

だが、3期目が始まって間もない中、習国家主席は既に大きな難題に直面している。それは、習国家主席が最も恐れる内からの反発だ。習国家主席が最も恐れるのは米国ではない、中国国民だ。

11月下旬、新疆ウイグル自治区ウルムチで外出禁止など厳重な封鎖措置が実施されるなか、10人が犠牲となる火災が発生したことで国民の導火線に火がつき、3年あまりに渡って実施されているゼロコロナ政策に抗議するデモが一気に拡大した。抗議デモは北京や上海、香港や広州など国内各地だけでなく、東京やロンドン、パリやシドニーなど世界各都市にも飛び火した。中国ではゼロコロナの名のもと、外出禁止など市民は日常生活を奪われ、病院にも行けず自宅で亡くなる市民も大幅に増加した。

企業も社員が工場やオフィスに行けず、自由に経済活動できなくなり、大きな損失も被った企業も多い。それが3年も続いたことで、中国国内では失業や経済格差などが拡大し、中国市民の社会的経済的不満はこれまでになく高まっている。新規感染者数が少ないのにゼロコロナが継続されることで、ゼロコロナは新たな人権侵害政策だと怒りを募らせる国民も多い。

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