成田悠輔氏「高齢者は自決せよ」発言を叩く日本人の嫉妬心。彼の“真意”に私が同意するワケ

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NYタイムズの記事に世界中が反応したことが発端となり、経済学者の成田悠輔氏の過激な発言が炎上しました。海外が騒ぐと日本のメディアが重大事にするのはよくあることですが、きっかけの記事を執筆したのが、実はNYタイムズ東京支社の日本人記者であると指摘するのは、「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さん。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、日本特有の「集団リンチ」の様相を呈したものの、発言の「真意」には100%同意できるとして、成田氏の主張を紹介し、自身の考えも述べています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

想像もしなかった成田悠輔氏「集団自決」騒動

成田悠輔「高齢者は集団自決した方がいい」NYタイムズが発言報じて世界的大炎上「この上ないほど過激」 | Smart FLASH

成田悠輔氏と堀江貴文氏とのYoutube対談「高齢者は老害化する前に集団切腹すればいい?成田氏の衝撃発言の真意とは」がきっかけとなり、成田悠輔氏の「高齢者は集団自決した方がいい」という発言が、ニューヨークタイムズの記事(A Yale Professor Suggested Mass Suicide for Old People in Japan. What Did He Mean?)になってしまった件を紹介する記事です。

成田悠輔氏とは、私も一度対談もしたことがありますが、とても賢い上に、話術が巧みという稀な存在です。ひろゆきさんとのYoutube番組を最初に見た時以来、大ファンで、彼の過激な発言を楽しんでいた面もあります。

私も彼の集団自決発言を聞きましたが、これは、私もこのメルマガで何度も指摘して来た、「世代交代が進まない」という日本の欠点を指摘する過程で彼があえて持ち出した「過激な発言」であり、「私には出来ない発言だ」とは思いましたが、これがこんな炎上に繋がるとは想像もしませんでした。

NYタイムズ報道も、実は「日本国内」の炎上

今回の経緯を注意深く見ると、ニューヨークタイムズの英語記事を書いたのは東京支社の日本人記者で、それが(日本人が書いたにも関わらず)「外圧」となり、日本のマスコミとネットの一部の人たちが、手のひらを返したように成田悠輔氏を批判し始めた、「日本国内の炎上」であることが分かります。

東京支社の記者としては、そもそも日本が世界に先駆けて少子高齢化の沼にハマっていること、そして、それを日本特有の文化である「ハラキリ」や「カミカゼ」と結びつけてセンセーショナルな記事を書きたかっただけだと思いますが、それが「海外でも批判されている成田悠輔氏」と誤解・拡大解釈され、成田悠輔氏への「集団リンチ」が始まったのです。

成田悠輔氏のような賢くて、立派な経歴を持つ人には、憧れる人がいる一方、嫉妬心を抱く人も大勢おり、そんな人たちが、こんなイベントをきっかけに、徹底的に叩くのが日本特有の「集団リンチ」なのです。

成田悠輔氏の「本当に言いたかったこと」が炎上した理由

この件を見てつくづく思うのは、「私も発言に気をつける必要がある」という点に尽きます。私も成田悠輔氏も、日本の一番の問題は、戦後の高度成長期の常識を背負ったままの古い考え方を持つ人たちが、政財界で大きな力を持ち続けていることにあると感じている、という点では一致しています。成田悠輔氏は「集団自決」という過激な発言をしたばかりに、大炎上を起こしてしまいましたが、私も一つ発言を間違えば、同じような状況に置かれてしまうのです。

私も一歩間違えば、同じような目にあってしまうだろうことを考えれば、成田氏を一方的に批判する気にはなれませんが、「過激なコメンテーター」というポジショニングをあえて選び、集団自殺という言葉を使って人々の注意を促そうという戦略を選んだのは彼自身です。今回の事件が、彼の今後のキャリアにどんな影響を与えるのかは不明ですが、軸足を日本に移そうとしていたのだとすれば、大きな痛手になったことは否定できません。

ちなみに、彼が本当に言いたいこと・伝えたいことは、私が「私が“言ってはいけない”ことを言う理由」というインタビュー記事に詳しく書いてあるのでそれを参照してください。
成田悠輔「私が“言ってはいけない”ことを言う理由」|みんなの介護

彼が言いたいことは、

  • 日本の「失われた30年」の原因は、進まない(政財界の)世代交代である
  • 少子高齢化は日本にとって最大の危機である
  • 尊厳死の合法化や延命治療への保険適用の見直しの議論を始めるべきである

であり、私もこれらの点に関しては100%同意します。成田氏は、あえて「集団自決」という過激な言葉を使うことにより人々の注目を集めようとしたのでしょうが、それが残念なことに今回の「炎上=集団リンチ」を招いてしまったのです。

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