時代遅れにも程がある。石破茂が岸田首相トマホーク2000億円爆買いに「猛反対」する理由

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2月27日の衆院予算委員会で、米国製ミサイル「トマホーク」400発の購入予定を明言した岸田首相。既に2,000億円以上の予算が計上されていますが、はたしてこの決定は日本にとって「正答」と言えるのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、防衛政策通として知られる石破茂衆院議員の言を引きつつ、その選択が誤りであることを証明。さらに岸田首相の大軍拡路線について、元自衛艦隊司令官が言葉を荒げなければならないほど危ういものであると結論づけています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年2月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をご登録の上、2月分のバックナンバーをお求め下さい。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

時代遅れのおんぼろミサイル。トマホークに2,000億円超つぎ込む岸田首相「亡国の大軍拡」

本誌は先週、石破茂=元防衛相の2月15日衆院予算委での質問を詳しく取り上げたが、彼は今週の「サンデー毎日」3月5日号に登場してさらに細かいニュアンスまで含めて語っているので、その中からいくいつかの論点を追加的に紹介する。

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第2次世界大戦敗戦と同じ道を辿る岸田政権の軍拡

石破は要旨次のように言う。

▼中国の軍拡は確かに懸念事項ではあるが、我が国もまた軍事大国であってはならないし、防衛力は節度を持って整備されるべきだ。軍の組織維持が自己目的化して痛い目に遭ったことが我が国にはある。ここは歴史に学ばなければならない。

▼米国と戦って日本は勝てるのか、「総力戦研究所」がシミュレーションした結果、総力戦になると必ず負けるという結果が出た。にもかかわらず戦争に突入してその予測通りになった。〔その裏には〕陸海軍それぞれの組織防衛があった。

▼海軍からすれば戦艦「大和」は完成寸前だったし、「武蔵」は長崎で建造中だった。米国と戦争できないならそんな海軍には予算をやれない、陸軍もソ連と戦争できないならそんな陸軍に予算はいらない、となった。予算確保という個々のセクションの部分最適が、総力戦では勝てるわけがないという全体最適を大きく歪める結果となった。政治もメディアも止めなかった……。

これは全くもって今日的な問題で、冷戦が終わってソ連の脅威が事実上消滅し、それ以外に日本に向かって大規模上陸侵攻して来るような国は存在しないことが誰の目にも明らかになったことで、陸上自衛隊の存在意義は著しく減退した。当時、自民党中枢の金丸信=自民党副総裁から「陸自大幅削減、海空中心のハイテク部隊によるハリネズミ防衛論」が出たり、その金丸と親しかった社会党の田邊誠委員長から陸自を「国境守備隊、内外災害派遣部隊、国連平和部隊に3分割すべきだ」との案が打ち上げられたりした。

それで困った陸自が、本誌がしばしば指摘してきたように、北朝鮮崩壊で武装難民が離島に押し寄せるとか、中国の漁民に偽装した海上民兵が尖閣諸島を盗みに来るとか、台湾有事になれば即座に日本有事だとか、あれこれ空想を膨らませてマンガ的な架空話をデッチ上げ、組織の温存と予算の獲得に狂奔してきた。が、政治もメディアもそれを止めることが出来ないというのが、昔も今も変わらぬ光景である。このようにしてこの国は道を誤って行くのである。

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