強烈な皮肉。石破茂が10年ぶりの国会質問で岸田首相に放った言葉

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2月15日、2013年10月以来およそ10年ぶりに国会質問に立った自民党の石破茂氏ですが、その「演説」ばりのスタイルが各メディアで話題となっています。そんな質問を高く評価するのは、ジャーナリストの高野孟さん。高野さんは自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で今回、石破氏の質問内容を詳細に検証しその的確さを称賛するとともに、アメリカにいいように手玉に取られ兵器を爆買いする岸田首相を強く批判しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年2月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

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石破茂の「独演会」。10年ぶりの与党質問で語った防衛論のブレない内容

石破茂は、小泉内閣で防衛庁長官、福田康夫内閣で防衛大臣を務めた自民党きっての防衛政策通で、もちろん防衛力増強大賛成の立場ではあるけれども、岸田内閣のように、中身のある議論の積み重ねもなしにいきなり防衛費倍増を決めてしまうような粗暴なやり方には批判的。その立場から2月15日の衆院予算委員会では10年ぶりに質問に立ち、30分の持ち時間のうち最初の24分間を一方的な持論の独演に充てる形でなかなかツボを押さえた問題提起をおこなった。

やや冗長な部分もあるけれども、あえて石破質問の全文を衆院事務局発表の速報(未定稿)を用いて収録するので、今自民党内や国会でどういうレベルの議論が求められているかをご自分で感取して頂きたいと思う。私なりの受け止め方は以下に記す。その便宜上、番号付きの小見出しは私が勝手に挿入した。

それに対する岸田の答弁は資料としては記載しない。ほとんど意味のあることを言っていないからである。以下の私のコメントの中で引用されることはあるかもしれない。

石破氏が首相に放った「強烈な皮肉」

石破が防衛族でありながらゴリゴリのタカ派でないのは、彼が元々田中派の出身だからである。その田中がハト派とまでは言えないかもしれないが、非タカ派の相対的リベラル派であり、従ってまた一定程度の対米自立派である精神的な基礎は、【1】で石破が言うように、「あの戦争に行ったやつがこの世の中の中心にいる間は日本は大丈夫だ、あの戦争に行ったやつがこの世の中の中心からいなくなったときが怖いんだ」という、身体に染みついた世代感覚である。それは、竹下登はどうだったか分からないが、その後の小沢一郎、橋本龍太郎、小渕恵三、羽田孜、梶山静六らの「七奉行」や細川護煕などに割ときちんと引き継がれ、たぶん石破が最後の方で、茂木敏充となると全然違う。

大平正芳、宮沢喜一、河野洋平、加藤紘一、古賀誠などの宏池会の主流も同じ世代感覚を共有し、それゆえに田中と大平は盟友関係を結び、共に日中復交を成し遂げた。異質だったのは麻生太郎で、2006年に宏池会を出て為公会を立ち上げて以来、安倍晋三に寄り添った。古賀から宏池会の看板を引き継いだ岸田文雄は、当然にもリベラル側とみなされてきたが、意外にも麻生的で、安倍路線の後継者だった。だからここで石破が、私の師は田中角栄だが、貴方の師は大平正芳ではなかったのかというような言い方をしているのは、実は強烈な皮肉だったのかもしれない。

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