強烈な皮肉。石破茂が10年ぶりの国会質問で岸田首相に放った言葉

 

==資料・石破茂の質問全文==

おはようございます。自由民主党の石破茂であります。 総理、その後、お具合はいかがですか。私も、もう何年前になりますか、政調会長のときに、やはり内視鏡のちょっとした手術をしたことがありましてね。お医者様のお許しを得て、その日のうちに党本部に出勤したりしていて、後が結構つらかったです。後が結構大変ですので、どうぞお大事になさってください。周りの皆様方もよくお支えいただくようにお願いを申し上げておきます。

【1・戦争体験の継承】

総理と私は、同じ昭和32年生まれで、同じ時代を生きてきました。総理の政治の師は故大平正芳元総理であるというふうに承ったことがあります。私にとっての政治の師は、故田中角栄元総理でありました。

田中角栄先生が、日中戦争に従軍しておられたのですけれども、御存命中に、あの戦争に行ったやつがこの世の中の中心にいる間は日本は大丈夫だ、あの戦争に行ったやつがこの世の中の中心からいなくなったときが怖いんだ、だからよく勉強してもらわなければならぬのだというふうに語っておられました。

私は、ずっと、議員になって以来、安全保障というものをライフワークの一つとして取り組んでまいりました。及ばずながら、勉強もしてまいりました。それは、角栄先生のこの言葉がずっと胸にあるからであります。

敗戦後、既に78年になりました。15歳で少年兵として昭和20年に従軍された方も、よわい90を超えておられる。御存命で、まだお元気な方も随分おられるとは承知をいたしております。しかし、この世の中の中心からはほとんどの方がリタイアされた。我々はその時代に生きているということをよく認識をしなければいけないと思っております。

【2・質疑の様式】

限られた時間でありますので、恐縮でありますが、本会議形式になって恐縮ですけれども、冒頭、私から思いを申し述べさせていただいて、総理に御答弁をまとめてお願いしたいと思っております。

通告はしてございますが、全部お答えいただかなくても結構です。安全保障について答えるというのは物すごく細心の注意を要することでありますし、何を言ってもいいというものではございません。そのことは、私も、何度も答弁に立って、よく承知をしておるつもりであります。そういう意味で、質問申し上げますが、冒頭、思いを申し述べさせていただきたいと思っております。

【3・安保政策の大転換の意味不明】

総理は、記者会見において、戦後安全保障政策の大転換だというふうにお述べになりました。これは一体何を意味するものなのだろうかということであります。そして、それに続けて、専守防衛は堅持する、非核三原則は堅持する、平和国家としての歩みは変わらないと。平和国家としての歩みは変わらないというのはそのとおりでありますが、専守防衛はそのままである、非核三原則はそのままである、では一体何が大転換なのだろうかということであります。

そして、国民の多くの皆様方は、防衛費の増額というものに肯定的な方も大勢いらっしゃいます。そのことは確かだ。しかし、なぜ大幅に増額をするのか、なぜ〔GDP比〕2%なのか、なぜ43兆円なのか。それはきちっとした積み上げがあり、どのように安全保障環境が変わったのかということをきちんと国民の皆様に御説明をし、得心をいただく、それが我々政府・与党の責任であるというふうに私は考えておるところでございます。

確かに安全保障環境は大きく変わった。冷戦が 終わって、いわゆる相互確証破壊というのが揺らぎが生じ、あるいは崩れたと言ってもいいかもしれない。そして、去年の今頃、私も含めて、常任理事国の核保有国であるロシアがウクライナに侵攻するということを予測できた者はほとんどいなかったと思います。しかし、それが現実のものとなった。北朝鮮はミサイルの発射を繰り返し、NPT体制というものに揺らぎが生じていることも事実だと思っております。中国の軍拡はとどまるところを知らない。確かに安全保障環境は大きく変わっているということを認識はいたしております。

しかしながら、今日のウクライナは明日の台湾、台湾有事は日本有事というような、そういうような思考というものを余り簡単にすべきものではないと私は認識しています。

【4・ 専守防衛の難しさ】

専守防衛について伺います。専守防衛の定義は総理も私もよく承知をしている。ここにいかなる軍事合理性があるのだろうかということであります。私は、防衛2法成立以来の国会の議事録も一応全部読んでみた。専守防衛ということが、さて、憲法の理念に立脚したものであるということ、そして、相手から攻撃を受けて初めて自衛力を行使するというものであること、これはよく承知をいたしております。しかし、この専守防衛というのは、軍事用語辞典を引いてみてもどこにも出てこない。これは軍事用語ではございません。ある意味で、政治用語と言ってもよいものであります。

では、これに、専守防衛というものを貫徹することが、我が国の独立と平和、国民の生命、身体、財産を守るために最も適当なものであるという理論的な説明ということがなされたことは一度もないのであります。

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