強烈な皮肉。石破茂が10年ぶりの国会質問で岸田首相に放った言葉

 

【7・脅威=意図×能力】

脅威というのは何なのか。それは、相手国を侵略しようという意図と能力の掛け算ですよね。掛け算だから、片っ方がゼロならば、幾ら掛けても答えはゼロなんですよ。総理が御指摘のように、平和国家としての歩みは変わらない。我が国は決して他国を侵略することはない、その強い意思を持つことが一番肝要なのだというふうに私は思っておるところでございます。

私は、軍事大国になることはあってはならないと思います。防衛力は節度を持って整備をされなければなりません。当然のことであります。

しかしながら、軍の組織維持とかそういうことが自己目的になったことが我が国にはなかっただろうか。私はよく若い人たちに言うのですけれども、今、参議院議員になっておられますが、猪瀬直樹さんの『昭和16年夏の敗戦』という本があります。昭和16年夏、昭和20年夏じゃない。昭和16年に、当時の大日本帝国政府は、今のャピトル東急ホテルの辺りに総力戦研究所というシンク
タンクをつくった。あらゆる情報が彼らには与えられた。20代、30代、主に30代ですね、陸軍、海軍、ありとあらゆる官庁、同盟通信、日本銀行、その最も優秀な人間を集めて、日本とアメリカの国力がどれだけ違うかということを全部開示をして、今でいうシミュレーションをやった。昭和16年夏に答えが出た。いかなる理由があってもこの戦争だけは絶対にしてはならない、必ず負けると。そのとおりになりました。顧みられることはありませんでした。それぞれの軍の組織防衛ということが先行したことを私は否定できなかったと思っています。

そういうような防衛力増強があってはなりません。しかしながら、その上でどのように防衛力を増勢していくかということはよく注意深くやっていかねばならぬことであります。

【8・反撃能力は通用するのか】

アメリカと日本の盾と矛との関係はどうなるのだ、日本が反撃力を持つということは矛を持つことになるのではないのかというお話があります。しかしながら、有名な船田防衛庁長官答弁、鳩山総理のものを代読されたものでありますが、ほかに取るべき手段がないということで、座して死を待つことが憲法の予定するところではない、そのとおりであります。

私が長官のときに、被害が起こってからでは遅過ぎる、おそれがある段階では早過ぎる、どの時点ならば防衛力を行使できるかといえば、それは着手の時期であるというふうに申し上げました。どこかの国が日本に向けて攻撃をしかけるという明確な意図があり、ミサイルが直立をし、燃料の注入が始まれば、もうそれは後戻りできない段階に入ってきたのだ、それをたたくことは許されるという答弁をいたしました。それは今でも生きていると思っています。しかしながら、今や、固体燃料だ、トレーラーで移動する、いつ、どこから撃つのか分からない。その理屈は今でも通用するかといえば、そうでもないのです。

敵基地攻撃のときの、反撃能力を行使するときの法的構成というのはきちんと構築をしておかねばなりません。そして、そのためにどんな能力を持つかということもきちんとつくっておかねばならないことなのであります。

【9・トマホークは役に立つのか】

そして、トマホークを一括購入するという報道がございます。トマホークは、御存じのとおり、原理は飛行機ですから、時速850キロしか出ない。多くの燃料を積まねばならない。速度も遅い。では、それが本当に反撃力として有効なものなのだろうか。我が国が持ってはいけないとされるのは長距離爆撃機であり、ICBMであり、攻撃型というものが仮にあるとすれば航空母艦だ。じゃ、弾道ミサイルはどうなのだ。それを持つということも、私は選択肢の一つとして考えるべきだというふうに考えております。次に移ります。

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