激安スーパー「ロピア」も「業務スーパー」も。焼肉店への参入で見せる戦略と本気

 

コロナ禍にあって出店ペース上げる

神戸物産の外食事業は食べ放題の「神戸クック・ワールドビュッフェ」と焼き肉店「プレミアムカルビ」。事業としては前者が先行していて2022年10月期の店舗数は11店。後者の焼き肉店はコロナ禍にありながら当期に6店舗新規出店して16店の陣容となった。

「プレミアムカルビ」は焼き肉を単品で注文することもできるが、いわゆる郊外ロードサイド型の焼き肉食べ放題。この分野では物語コーポレーションの「焼肉きんぐ」が297店舗(2023年2月上旬)と店数で一つ抜きん出ているが、それを追いかける形の食べ放題焼き肉店はこれとは差別化してそれぞれの特徴を打ち出している。

「プレミアムカルビ」の外観では「食べ放題価格」を訴求している

「プレミアムカルビ」の外観では「食べ放題価格」を訴求している

そこで「プレミアムカルビ」の差別化路線とはこのようになっている。

まず、食べ放題は時間制限100分、105品の「プレミアムコース」と66品の「スタンダードコース」がある。それぞれ年齢別に料金が異なっている。プレミアムコースは一般が4,048円(税込、以下同)だが、3歳以下無料、幼児638円、小学生2024円、60歳以上3498円。スタンダードコースの場合は一般が3278円で、順に無料、528円、1,639円、2,728円となっている。このような年齢別の価格設定は焼き肉食べ放題の業態で増えてきている。

高齢者の減額は2~3年前まで65歳以上が一般的だが、近年では「焼肉きんぐ」も60歳以上500円引きにして、来店動機の間口を広げるようになっている。焼き肉食べ放題では「焼肉きんぐ」に次ぐ店舗数(89店/2023年2月上旬)の「ワンカルビ」では60歳以上「シニア」の上に70歳代以上「シルバー」のカテゴリーを設けて一段の減額を示している。

食べ放題の中に差別化要素が

同店では通常のスライスした肉のほかに熟成肉を塊で提供している。「イベリコステーキ」「リブロース芯」「塊ロース」「カルビステーキ」がラインアップされ、いずれも1,078円。見た目で150g程度あり、塊肉をBBQで肉を焼くようにゆっくり、じっくりと仕上げていくのは同店ならではの楽しみ方である。ハサミでカットしながら焼き上がりの状態を確認して、食味は熟成肉ならではの旨味がある。

「プレミアムカルビ」では熟成肉の塊肉を単品でも注文することができる

「プレミアムカルビ」では熟成肉の塊肉を単品でも注文することができる

そしてタレが「14種類」ラインアップされている。キャビア、トリュフオイル、おろしポン酢、チーズなどを使用したものがありオリジナリティが高い。

この食べ放題にはパティシエクオリティのジェラート&デザートビュッフェ(18種類)が付いている。みなおちょこ程度のサイズでさまざまな種類を楽しむことができる。

「プレミアムカルビ」はジェラート&デザートビュッフェが特徴

「プレミアムカルビ」はジェラート&デザートビュッフェが特徴

焼き肉は単品でも注文できるがジェラート&デザートビュッフェは単品では注文できない。だから、同店でこれを食べようと思ったら食べ放題を注文することになる。これによって女性客が増えて客単価も高く安定することになる。

ジェラート&デザートビュッフェは食べ放題のみで利用することができる

ジェラート&デザートビュッフェは食べ放題のみで利用することができる

コロナ禍にありながら焼き肉業態は営業時間制限要請以外では好調に推移した。コロナ禍にとなったほかの業態に先駆けて「店内の空気が短時間で入れ替わる」をアピールし安心・安全を訴求。民間の調査で「コロナ禍が明けてから行きたい外食」のトップの常連となった。このような追い風を受けて「プレミアムカルビ」は出店ペースを上げて2023年末には40店舗体制にすることを標榜している。

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