総務大臣が早々に資料を「行政文書」と認めた裏事情
それにしても、当初この文書に疑問を呈していた松本総務大臣がなぜ、一転してかくも早々と行政文書であると認めたのだろうか。そこに岸田官邸の意向が反映されていないだろうか。
岸田首相は、総裁選で争った高市氏を政調会長に起用したが、安倍元首相が亡くなったとたん、党三役から外し、得意分野だからという理由で「経済安全保障」担当の大臣にした。その不満からか、高市氏は昨年9月28日のテレビ番組で、大臣就任時に岸田首相とかわした中国がらみの密談の内容を暴露してしまった。岸田首相をはじめ、官邸の面々が憤慨したことは想像に難くない。
折あらば倒閣の機運を呼び起こし、その旗頭たらんとする動きを見せてきた高市氏を、こんどは総務省文書に乗じて、岸田首相が突き放したということなのだろうか。
今のところ、総務省はこの文書を書いた官僚からの聴き取り結果を明らかにせず、高市氏も「捏造」発言を撤回していない。しかし、官邸の政治判断によっては、総務省の態度が豹変することも十分に考えられる。清和会復帰の希望もかなわず、無派閥のまま党内で孤立している感が強いだけに、高市氏がこの窮地を抜け出すのは並大抵のことではないだろう。
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