総務省が全文公開の大誤算。高市早苗を追い込む放送法「行政文書」のエグい内容

 

「捏造」を「不正確」にトーンダウンさせた高市早苗の窮地

総理レクの翌日、磯崎補佐官が安藤局長らに話した内容は、特定の民放番組に対する敵意が剥き出しになっていた。

「サンデーモーニングには問題意識を持っている。(報道ステーションの)古館も気に入らないが、古館はゲストを呼ぶ。…サンデーモーニングは番組の路線と合わないゲストを呼ばない。あんなのが(番組として)成り立つのはおかしい」「(究極は)けしからん番組は取り締まるスタンスを示す必要があるだろう」

放送法は、大本営発表を垂れ流して戦争に協力したラジオ放送の過ちを繰り返さないために、政治権力からの独立に重きを置いてつくられた法律だ。その立法精神を捻じ曲げてでも、放送番組をコントロールしようというのである。

2015年3月27日のテレビ朝日「報道ステーション」で、コメンテーターだった元経産官僚、古賀茂明氏が「官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきましたけれども…」とのコメントを残して降板したことも、同4月17日に自民党政調会の一組織が、テレビ朝日とNHKの経営幹部を党本部に呼びつけ“事情聴取”におよんだのも、こうした言論弾圧への動きと無関係ではあるまい。

朝日新聞の3月4日付の記事によると、磯崎元首相補佐官は一連の経緯をおおむね認めている。

一方、「捏造だ」と啖呵を切っていた高市氏は、総務大臣が行政文書と断じた3月7日、「文書は不正確だと確信を持っている」と、トーンダウンした。「捏造」と「不正確」では、まるで意味が違う。

総務官僚の創作とは考えづらい高市氏の発言記録

結局のところ、高市氏が「捏造だ」「不正確だ」というのは、高市氏が登場する4ページだけだ。とりわけ、15年3月9日、総務大臣室・平川参事官から安藤局長にあったとされる連絡内容「政治的公平に関する件で高市大臣から総理に電話(日時不明)」については、小西議員に対して次のようにはっきり否定した。

「安倍総理との電話がどうのこうのと、日時不詳だと。何月何日に私と安倍総理が電話をしたか、それすら書かれていませんよね。放送法について安倍総理となにか打ち合わせをしたことはありません。…私の電話に盗聴器でもついているんでしょうか。まったくそれは捏造文書だと考えております」

高市氏がそれを捏造だと言い、安倍氏が亡くなっている以上、真実かどうかは平川氏に聞いて調べるほかないが、これ以外の部分はどうなのだろうか。

高市総務大臣が安藤局長からこの件について最初に説明を受けたのは15年2月13日だった。その時の高市発言の概要も記録されている。

苦しくない答弁の形にするか、それとも民放相手に徹底抗戦するか。TBSとテレビ朝日よね。

官邸には「総務大臣は準備をしておきます」と伝えてください。

これが総務官僚による虚偽の作文だとしたら、作者はよほどの想像力の持ち主である。

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