子宮頸がんワクチン批判の教授をカネ絡みで追放した過去も
さらに、仰天につぐ仰天の事実も判明した。
ジェファーソン博士のインタビューをとったマリアンヌ・デマシ氏が、3月15日に『速報:コクランは批判者をなだめるために研究者を犠牲にしたのか?』という記事を発表。
● BREAKING: Did Cochrane sacrifice its researchers to appease critics?
『ニューヨークタイムズ』のコラムを書いたゼイネップ・トゥフェクシー氏を名指しし、「質の高いデータがないにもかかわらず、乏しい証拠に基づいて、マスクは効果があると結論づけることができると主張」と批判したほか、「トゥフェクシーは、コクランにもコメントを求め、おそらくはコクランに圧力をかけて、ウェブサイトに声明を発表させた」と伝えたのだ。
また、ジェファーソン博士は、コクランが動揺した状態で、論文の著者たちに一切の報告なく突然謝罪したことを証言し、今回の謝罪についてこう述べた。
「コクランの編集長は、とんでもない間違いを犯したと思います。コクランは記者たちから圧力を受けてレビューを変更することができる、というメッセージを送っている。コクランのレビューが自分の教義と矛盾しているとして気に入らない場合、コクランのレビューを変更するよう強制できると人々は考えるかもしれません。危険な前例になってしまった」
だが記事によれば、コクランには、過去にも圧力に屈した歴史があるらしい。
2018年には、デンマークのピーター・ゲッチェ教授が、子宮頸がんワクチンに対する率直な批判を発表。この批判によって、子宮頸がんワクチンの接種率が低下したことが物議を醸し、コクランから追放されたというのだ。
関係者によると、当時コクランは、子宮頸がんワクチンを世界的に広く推進していた財団から115万ドルの助成を受けており、資金提供者をなだめるために動いたという。
本来、論文を正式掲載した科学誌は、その内容について議論が巻き起これば、さらに科学的知見を集めて、議論を深め、真実にたどり着くよう努力する義務があるだろう。著者に連絡もなく、勝手に解釈を変更したり、ましてや内容について謝罪などしてはならないはずだ。
「根拠に基づく医療」を掲げ、世界最高権威と言われる組織も、マスク一枚であっさり終了、である。
2018年子宮頸がんワクチン、2023年コロナマスク。そう遠くない未来に、またあり得ない過ちを起こしそうだ。経験をしっかり記憶して、まやかしに流されないよう鍛えておくしかない。
(『小林よしのりライジング』2023年3月21日号より一部抜粋・文中敬称略)
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